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遺産分割協議には期限はある? 相続手続きを急いだほうがよい理由とは

2020年03月25日
  • 遺産分割協議
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遺産分割協議には期限はある? 相続手続きを急いだほうがよい理由とは

遺産分割協議とは、相続人同士の話し合いで遺産の分割方法を決める手続きです。協議自体に期限はありませんが、相続手続き自体にはそれぞれ期限が設定されていることをご存じでしょうか。たとえば高崎市では、相続した空き家を特定の形で譲渡した場合、譲渡所得から3000万円の特別譲渡を受けられる制度を設けています。

ただし、本制度における特別控除を受けるためには、相続した日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡する必要があります。このように、さまざまな制度を受けるためには、ある程度の期限が定められているのです。

大切な家族が亡くなると悲しみから心身ともに消耗してしまい、実務的なことを考える気力も湧いてこなくなるものです。しかし、残念ながら相続手続きにも期限が定められています。そこで今回は、遺産分割協議の期限から一連の手続きの流れまで、相続手続きの基礎知識について高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、遺産分割協議に期限はある?

遺産分割協議自体には明確な期限がありませんが、それにまつわる諸手続きにはそれぞれ期限があります。

たとえば、「相続放棄」「限定承認」は、原則として民法第915条に「自分のために相続があったことを知ってから3か月以内」に手続きを行わなければならないと定められています。「相続放棄」とは、相続人が自分の相続分を放棄する手続きのことです。そして、「限定承認」は、亡くなった人の遺産の限度で借金などの支払いをするというものを指します。いずれも、被相続人(亡くなった人)に借金があった場合などに行使されることが多いです。

さらに、「遺留分侵害額請求」は相続開始と遺留分侵害があったことを知ってから1年間以内に行う必要があります(民法第1048条)。「遺留分」とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に法律で保証されている、最低限度の相続分のことで、遺言によっても子どもの遺留分を侵害することはできません。もし遺留分が侵害されている場合には、上記の「遺留分侵害額請求」を申し立てて取り戻すことになります。かつては「遺留分減殺請求」と呼ばれていた手続きです。

相続が完了してからも気は抜けません。「相続税の申告、納税」は相続開始後10か月で行う必要があります。

また、相続登記や相続税申告などの諸手続きには、遺産分割協議書の提出が求められます。
以上の理由から、一般的には遺産分割協議も10か月以内に行うのが目安だとされています。協議がまとまらない場合には、遺産分割調停・審判に移行することもあります。

2、知っておきたい相続手続きの流れ

ここでは、相続開始後の基本的な流れについて簡単に説明します。相続手続き全体の中で、遺産分割協議をどのように行えばよいのか把握しておきましょう。

  1. (1)遺言書の検認・遺言執行者選任

    被相続人の自筆証書遺言を発見した場合は、すぐに管轄の家庭裁判所に「遺言書の検認」と「遺言執行者の選任」を申し立てます。被相続人が残したのが公正証書遺言である場合には、これらの手続きは不要になります。

  2. (2)相続人の確定

    遺産分割を行うにあたっては、まず相続人全員の存在を把握しておかなければなりません。具体的には、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)をたどって確認することになります。

  3. (3)相続財産の調査

    相続人を確定するとともに次に相続財産の調査を行います。遺産分割協議が成立するまでの間、相続財産はすべての相続人が共有している状態にあります。

    もし、被相続人が残したのが「マイナスの遺産(負債)」である場合は、そのまま相続しても、相続人が亡くなった家族の代わりに借金を返済しなければなりません。そこで、マイナスの遺産のほうが多いケースのほとんどが、相続開始から3か月以内に「相続放棄」または「限定承認」を行うことになります。

  4. (4)遺産分割協議

    被相続人の遺言がある場合は基本的にその内容に従って相続手続きを行いますが、遺言がない場合、相続人と相続財産をすべて把握できたら、いよいよ遺産を分割することについての話し合い、「遺産分割協議」を行います。

  5. (5)協議成立の場合:遺産分割協議書の作成

    協議のすえ、相続人全員が合意した場合は、遺産分割協議書を作成することをおすすめします。遺産分割協議書の書き方に、特段の定めはなく、手書きでもパソコンでもかまいません。ただし、後日のトラブルを避けるためにも「誰がどの遺産を取得するのか」と「協議成立の日付」を明確に記載してください。自信がないときは弁護士に依頼することをおすすめします。

    遺産分割協議書には必ず相続人全員の署名押印をしておきましょう。相続登記手続きの際に「相続人の実印入りの遺産分割協議書」と「印鑑証明書」の提出を求められるため、押印は、必ず実印を使用してください。原本は、必ず相続人全員分を作成し各自で厳重に保管しておきます。

    より万全を期すのであれば、公正証書という形で残しておくことも検討してみましょう。公正証書とは、公証役場で公証人立ち会いのもと作成される公文書です。公証役場で厳重に保管されるため、紛失・偽造のリスクがないのが特徴です。

  6. (6)協議不調の場合:遺産分割調停・審判

    相続人同士の話し合いがまとまらなかった場合は、中立的な機関である裁判所に遺産分割の割合を決めてもらうことになります。まず、管轄の家庭裁判所で調停を申し立てます。調停の申立書は裁判所に出向いて直接もらうか、裁判所のホームページでダウンロードして入手してください。

    調停は、民間人の家事調停委員と裁判官から成る調停委員会が同席して行います。調停が成立した場合は調停調書を作成し、その内容に従って遺産分割を行うことになります。不調に終わった場合は、そのまま自動的に審判手続きに移行します。審判では、遺産の種類や各相続人が置かれている状況などを考慮して裁判官が強制的に遺産分割方法を決定します。審判は通常1回では終わらず、2~3年と長引くこともあります。

  7. (7)相続財産の名義変更、不動産相続登記

    遺産分割協議(または調停・審判)で決定した内容に従って、株式・預貯金の名義変更や不動産相続登記を行います。

    特に相続不動産の登記手続きをしないまま放置していると、何かトラブルが発生した際、相続人が「この不動産は自分のものだ」と第三者に主張できなくなるおそれがあります。民法第177条でも、不動産の所有権を得た後「登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と定められています。名義変更や登記の手続きは、なるべく速やかに行いましょう。

  8. (8)相続税の申告・納付

    最後に、相続税の申告・納付手続きを「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」に行います。

3、遺産分割協議はいつから始めるべきか

一般的には、四十九日を終えたタイミングで始めるケースが多いようです。もちろん、法律的な事情だけを考えれば、着手は早いに越したことはありません。しかし、四十九日も終えないうちに遺産分割協議を事務的に進めようとすることはそもそもご負担でしょう。やはり故人を静かに偲ぶ気持ちも大切にしたいお気持ちはよく理解できます。

ただし、状況が複雑になりそうであれば、できるだけ早期に弁護士に相談しておくこともひとつの手です。被相続人が亡くなった直後から、相続手続きの確認や自分の分の書類の手配などの下準備を進めておくことができます。

4、遺産分割で実際によくあるトラブル

ここでは、遺産分割について実際によく見られるトラブルの具体例をご紹介します。

  1. (1)相続人の中に、認知症の高齢者や未成年者がいる

    相続人の中に認知症の高齢者や未成年者がいる場合、相続手続きについて自分で判断できません。そこで、あらかじめしかるべき手続きを行う必要があります。

    まず、認知症の高齢者については、家庭裁判所に「後見開始の審判」の申し立てを行い、「成年後見人」を選任してもらいます。「成年後見人」とは、認知症や精神障害などが原因で判断能力を十分に有しない人に代わって、弁護士や司法書士などが法律手続きや財産管理などを行う制度のことです。

    未成年者の場合は、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらいます。利益が反するため、未成年者の親は代理人になることができません。弁護士を代理人とすることは可能となります。

  2. (2)遺産分割禁止期間が遺言書に定められている

    被相続人は、遺言で遺産の分割を一定期間禁止することができます。相続トラブルを生前から予想していた場合などに、このような定めを遺言書に記載することがあるようです。もしも遺言書に遺産分割期間が定められていたら、その間は遺産分割ができません。

    しかし、民法第908条には「相続開始のときから5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる」と定められています。そのため、遺言書に「10年間遺産分割を禁止する」と定められている場合には、自動的に5年間に短縮されることになります。

  3. (3)遺産の中に不動産が含まれている

    家や土地などの不動産については、分割方法や評価方法について相続人間で意見が対立することが多々あります。たとえば、不動産を現物のまま特定の相続人が相続する「現物分割」、法定相続分を超える部分は金銭の支払いでバランスをとる「代償分割」、不動産を売却して金銭を相続分に応じて分ける「換価分割」などがあります。

    遺産分割協議でもめないためには、被相続人が生前に遺言書の中で分割方法や評価方法について定めておくことが望ましいでしょう。

  4. (4)協議終了後に新たな遺産が見つかった

    遺産分割協議の段階ですべての相続財産を把握できるのが望ましいですが、後から出てくることもあります。この場合、すでに決着済みの分は有効です。新たに発見された遺産については、別途分割協議を行えばよいとされています。

  5. (5)被相続人の介護・世話を特定の相続人がしていた

    民法第904条の2には寄与分についての定めが記されています。具体的には、特定の相続人だけが被相続人の身の回りの世話や介護をしていた場合には、その貢献分を「寄与分」として考慮すべきだと法律に定められているのです。

    しかし、寄与分をいくらにするかについて相続人間でもめるケースはよく見られます。協議の長期化を回避するためには、身の回りの世話や介護をしていた側が、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたことを証明できるよう、できるだけ領収書などを保存しておくとよいでしょう。また、被相続人があらかじめ遺言書を作成しておくことも、死後の相続トラブルを避けられる可能性が高いと考えられます。ただし、この場合でも他の相続人の遺留分を侵害しないよう気を付ける必要があります。

  6. (6)遺言書の内容が偏っている

    「特定の相続人にすべて相続させる」など遺言書の内容が偏っている場合には、他の相続人は「遺留分侵害額請求」によって遺留分を取り戻せる可能性があります。

    遺留分とは、前述のとおり、兄弟姉妹以外の法定相続人について法律で最低限保証されている相続分です。実務においては、遺留分侵害額請求によって骨肉の争いに発展するケースも少なくありません。このようなトラブルを避けるためには、やはり相続人の遺留分に配慮した遺言書を作成することが重要になります。

5、遺産分割を弁護士に相談するメリット

遺産分割を始めとする相続手続きは極めて複雑であり、正確な法律知識が求められます。弁護士であれば、遺言書の作成から遺言執行者の選任、遺産分割協議書の作成、相続登記・名義変更の助言、裁判になった場合の対応まで一括でご対応ができます。

あなたの代理人として交渉の場に立つこともできるため、早い段階で弁護士に相談しておく、もしくは代理人として委任することで、不要な争いに発展することなくスムーズに協議が進められる可能性が出てくるでしょう。

なお、相続の大変さは税金問題にもつながります。ベリーベスト法律事務所であれば、所内の税理士や司法書士と連携することで、相続関係の手続きがワンストップで完結させることが可能です。もちろん、懇意にされている税理士などとも連携を取りますので、まずはご相談ください。

6、まとめ

相続人が複数存在している場合、それぞれの利益が対立する遺産分割協議はもめるケースが多いものです。できれば生前に遺言書を作成する段階から弁護士に相談するなどして、なるべく早めにトラブルの芽を摘んでおくことをおすすめします。

遺産分割協議そのものに期限はありませんが、その後に必要となる可能性が高い手続きにはそれぞれ期限が定められています。間に合うように対応するためにも、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスでご相談ください。ベリーベスト法律事務所であれば、弁護士によるアドバイスなどが受けられるほかに、税理士や司法書士とも連携し、ワンストップサービスで対応することが可能です。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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