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農家の嫁が離婚をするときは要注意! 財産分与のポイントとは

2021年01月12日
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農家の嫁が離婚をするときは要注意! 財産分与のポイントとは

高崎市農業委員会によりますと、平成31年3月末現在、高崎市内では6970戸の農家が存在し、2470名の女性が農業に従事しています。この中には、農家を営む夫との結婚がきっかけで農業に従事するようになったという方もいることでしょう。そしてさらにこの中には、夫との離婚を考えている方もいらっしゃるかもしれません。

結婚するときと同様に、離婚するときは今後の生活のために配偶者とさまざまなことについて合意しておかなければなりません。特に農家を営んでいる夫婦の場合は、農地の財産分与が検討課題になることもあります。本コラムでは、農家に特有の財産分与をはじめとする離婚に向けた準備について、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、そもそも財産分与とは

財産分与とは、離婚する際、婚姻期間中に築いた夫婦共有財産を分け合うことを指し、民法第768条に条文が規定されています。

財産分与の対象となる夫婦共有財産とは、婚姻してから夫婦が実質的に共同で形成・維持してきた財産すべてを指します

他方、夫婦が婚姻前からそれぞれ個人名義で所有していた財産、婚姻期間中であっても相続により取得した財産は、「特有財産」とされます。特有財産は、婚姻してから夫婦共同で形成・維持された財産とはいえず基本的に財産分与の対象とはなりません

なお、法律では、離婚するときの財産分与の規定はありますが、義務付けているわけではありません。また、財産分与の割合は民法やそのほかの法令でも明確な規定がなされているわけではないのです。したがって、双方が同意すれば財産分与をせず、他方だけが財産を取得しても問題はありません。ただし、過去の判例や慣行などから、夫婦が別居した時点または離婚が成立した時点における共有財産額の「2分の1」がひとつの基準とされています。

離婚条件を決めるうえで、財産分与に関する問題は避けて通れません。なぜなら、分与を受けた財産が離婚後の生活基盤にもなり得るからです。したがって、財産分与の方法、財産の種類、財産額については、あとで悔やまないように慎重に検討する必要があります。

金額が大きいとき、土地建物など不動産や株が財産分与に関係する場合、当事者同士での話し合いが難しいときは、弁護士に依頼したほうがよいケースが多いでしょう。まずは適切な財産分与について相談してみることをおすすめします。

2、財産分与の種類は?

財産分与には、「清算的財産分与」、「扶養的財産分与」、「慰謝料的財産分与」の3つの要素が含まれています。

  1. (1)清算的財産分与

    清算的財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して形成・維持した財産を清算するものであり、財産分与の中心的な要素になります。

    先述した財産分与の考え方に基づき、婚姻期間中を通じて夫婦で形成・維持した財産はすべて共有財産とします。そして、財産の形成・維持に対する夫婦それぞれの貢献度に応じて分配するというものです。

  2. (2)扶養的財産分与

    夫婦の一方が病気や高齢などの理由で働くことができない場合、離婚をしてしまうと生活が困窮してしまうケースがあります。そのようなとき、離婚したあとも夫婦の一方を扶養する目的で行われる財産分与が、扶養的財産分与です。

    ただし、あくまでも慰謝料や清算的財産分与により金銭を得たとしてもなお生活していくことが難しいケースに限られる、補充的なものです。
    扶養的財産分与が認められるか否かやその金額は、婚姻期間、夫婦の収入、年齢、子どもの養育、病気、身体障害等を考慮して判断されることになります

  3. (3)慰謝料的財産分与

    夫婦の一方に家庭内暴力や不倫などの離婚原因があった場合に、その離婚原因を作った方から配偶者に対する慰謝料分を加味して財産分与を行うケースを、慰謝料的財産分与と呼ぶことがあります。

    本来、慰謝料とは財産分与とは異なる法律を根拠しているため、全くの別物といえます。しかし、清産的財産分与で受け取るべき金銭や不動産に、慰謝料分を上乗せすることによって、慰謝料的な意味合いを持たせることができます
    もちろん、離婚慰謝料を求める場合には、離婚と共に慰謝料請求をすることができますが、この場合には、慰謝料的要素は財産分与の要素となりません。

3、農地の財産分与を受けるときの注意点

離婚による財産分与によって農地の所有権を取得する場合、財産分与の取り決めの方法が調停または裁判である場合、農地法第3条の許可(権利移動)を得る必要はありません(農地法第3条第1項第12号、民法第768条第2項)。

別の見方をすると、夫婦当事者間の話し合い(協議)の中で財産分与として農地を分ける場合は、農地法第3条の許可が必要になります
話し合いによる財産分与により土地を譲り受ける場合には、農地法の許可要件を満たすか否か慎重に検討すべきでしょう。

農地法第3条の許可は、配偶者と農地の分割について合意したあと、譲渡人および譲受人が当該農地を分与する配偶者が当該農地の所在する市町村の農業委員会に許可を申請します。そして農業委員会から農地法第3条の許可がおりてから、農地の名義を変更する所有権移転登記を行うのです。

調停または裁判によらない農地の財産分与であるにもかかわらず、農地法第3条の許可を取得せず財産分与および所有権移転登記を行うと、無効となる可能性があります。さらに、農地法第64条の規定により3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意が必要です。

4、農地の財産分与を受けたあとの注意点

財産分与として農地を譲り受けたあと、その農地で引き続き農業に従事する方もいるでしょう。しかし、それ以外の土地活用を考えている場合は注意が必要です。

  1. (1)農地以外の用途に転用する場合(農地法第4条)

    農業をやめ、賃貸アパートなどの収益物件を建てたいとお考えになっているかもしれません。しかし、当該農地で農業を継続する以外の場合は、農地法第4条の規定により、所定の許可取得や届け出が義務付けられていますので、注意が必要です。

    具体的には、市街化区域外にある農地を宅地など農地以外の用途に転用する場合は、あらかじめ都道府県知事または農林水産大臣が指定する市町村の長に許可申請し、許可を得なければなりません。また、市街化区域内にある農地を農地以外の用途に転用するときは、あらかじめ当該農地が所在する市町村の農業委員会に、その旨を届け出ることが義務付けられています。

    これに違反すると、権利移動と同様に3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されたり、取引が無効となる可能性があります。

  2. (2)農地を転用目的で権利設定する場合(農地法第5条)

    自ら管理するのが大変だから、宅地開発を目的とする不動産会社など第三者に売却したいとお考えの方もいることでしょう。

    しかし、市街化区域外にある農地を農地以外のものに転用するために売買などの所有権を移転したり、地上権や賃借権等を設定したりするときにも、あらかじめ都道府県知事または農林水産大臣が指定する市町村の長に許可申請し、許可を得なければなりません

    また、市街化区域内にある農地を農地以外のものに転用するために売買など所有権を移転したり、地上権や賃借権などを設定したりするときは、あらかじめ当該農地が所在する市町村の農業委員会にその旨を届け出ることが義務付けられています。

5、財産分与以外にもある、まとめておくべき離婚条件とは

離婚を考えていくうえでは、離婚後の住居の手当てや仕事を見つけるなど、離婚後の生活のために準備しなければならないことが数多くあります。

さらに、財産分与をはじめとして配偶者と合意しておくべき事項がいくつもあります。以下では、代表的な離婚条件についてご説明します。

  1. (1)親権

    未成年の子どもを監護・養育することを目的に、親に認められた子どもに対する権利、および課せられた義務を総称して、親権といいます

    離婚した場合、父母のどちらか一方しか子どもの親権者になることができません(民法第819条)。さらに、離婚するときには、協議や調停、裁判に関係なく、未成年の子どもの親権者を決めておく必要があります。

    親権のほか、親権者にならなかった夫婦の一方と子どもの面会交流についても取り決めておくべきでしょう。

  2. (2)養育費

    養育費とは、子どもが大人として自立できるようになるまで必要なお金のことです。養育費の金額は、非監護親と監護親の収入、子どもの人数、年齢等を考慮して決めていくことになります。

    養育費の算定方法について、明確に定めた法律はありません。調停や裁判で養育費が争点となった場合、裁判所が公開している「養育費・婚姻費用算定表」が、ひとつの基準になるケースが多いといえます。

    ベリーベスト法律事務所のホームページではシミュレーターを提供しておりますのでご活用ください。
    養育費計算ツール

  3. (3)婚姻費用

    離婚条件がまとまっていない状態で、配偶者と別居したというケースは多いようです。

    たとえ別居状態であっても離婚が正式に成立していないのであれば、民法第760条に定める婚姻費用分担義務に基づき、収入が多い方は少ない方の生活費を応分に負担しなければなりません。つまり、あなたの収入が夫より少なければ、あなたは夫から相応の婚姻費用を受け取る権利があるのです。

    しかし、感情的になってしまった相手方から、婚姻費用がもらえないケースも想定されます。この場合、夫を相手方とする「婚姻費用分担請求調停」を家庭裁判所に申し立て、婚姻費用の支払いを確保するようにしてください。

    なお、婚姻費用の金額の目安についても家庭裁判所のホームページにおける公表されている「養育費・婚姻費用算定表」を参考にするとよいでしょう。ベリーベスト法律事務所でもシミュレーターを提供しています。
    婚姻費用計算ツール

  4. (4)年金分割

    兼業農家などで、配偶者が厚生年金保険の加入者である場合は、配偶者の厚生年金が分割対象となります。

    ただし、厚生年金基金の上乗せ給付部分、国民年金、民年金基金、私的年金は年金分割の対象とはなりません。したがって、専業農家の場合、そもそも分割できる年金がないケースがほとんどです。

    厚生年金の分割方法は、「3号分割」と「合意分割」があります。このうち、3号分割とは平成20年4月1日以降に国民年金3号被保険者だった配偶者と、厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ分割する制度です。3号分割を受けるためには、離婚成立後直ちに年金事務所で手続きを行う必要があります。

6、まとめ

離婚を経験した方からは、離婚するときの準備や配偶者との交渉は結婚するときよりもはるかに大変であるという声を多く聞きます。その負担を軽減し、適正な財産分与を受けるためには弁護士に相談することをおすすめします。

男女関係の問題解決に実績と経験のある弁護士に依頼すれば、法律的なアドバイスを受けることができます。さらには、あなたの代理人として配偶者との交渉や調停、裁判手続きなどのサポートを受けることが可能です。

ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスでは、離婚に関するご相談全般を承っております。ぜひお気軽にご連絡ください。あなたのために、ベストを尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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