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認知取り消しはできる? 自分の子どもではないとわかったときの対処法

2021年08月03日
  • その他
  • 認知取り消し
認知取り消しはできる? 自分の子どもではないとわかったときの対処法

高崎市が公表している「統計季報 No.233」によると、令和元年中に出生した子どもの数は2640人でした。嫡出子であれば、一般的に婚姻関係がある男女間に生まれた子どもは夫婦に扶養義務が生じることはよく知られている通りです。他方、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもについては、認知することによって法律上の親子関係が生じます。

では、認知した子どもが自分の子どもでないことが判明したようなケースでは、認知を取り消すことはできるのでしょうか?

本コラムでは、自分の子どもではないとわかったときの認知の取消しについて、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説していきます。

1、認知の基礎知識

まず“認知”について、基礎知識を確認しておきましょう。

  1. (1)認知とは

    結婚している夫婦の間に生まれた子ども(嫡出子)は、出生届を出せば夫婦の戸籍に入り、父母双方と法律上の親子関係が発生します。

    一方、結婚していない男女の間に生まれた嫡出でない子ども(非嫡出子)は、通常、分娩したことは客観的に明らかであるため、母子関係は原則として分娩の事実によって発生しますそのため法律上の母子関係は発生しますが、父子関係については法律上の父子関係を発生される手続きが必要になりますこの手続きが“認知”です

  2. (2)認知の方法

    認知の方法は、任意認知または強制認知があります。

    任意認知は、父親が自分の意思で子どもを認知する方法です。認知者自身が市区町村役場に認知届を提出する方法のほか、生前に認知できない事情があるときなどには遺言で認知して(民法第781条第2項)遺言執行者が認知届を提出する方法によって、認知することができます。なお母の承諾が得られたときには、出生前の胎児であっても認知することは可能です(民法第783条第1項)。なお、成人した子どもを認知する場合には、当該子どもの承諾が必要です(民法第782条)。

    一方強制認知は、父親が子どもを認知しない場合に子ども、子どもの法定代理人である母親等が裁判所に申し立てをして強制的に認知を認めてもらうものです。父親が認知してくれなかったり、病気や死亡によって認知できなかったりするときに、強制認知の方法によることになります。なお、調停前置主義が採用されているため、原則として訴訟の前に認知の調停を申し立てる必要があります(家事事件手続法第257条第1項)。

    強制認知でも、裁判所で認められた後に認知届を役所に提出する必要があります。

  3. (3)認知の効果

    認知により、出生時にさかのぼって法律上の父子関係を発生させます(民法第784条本文)。その結果、親子間の権利義務をお互いに負うことになるので、父親と子どもとの間に扶養義務や相続権が発生します。

    たとえば父親は、未成熟の子どもに対して扶養義務を負うので、法律上自分と同じ程度の生活をさせる義務を負うことになります。そのため子どもと別居しているのであれば、子どもと同居する母親に養育費を支払わなければならなくなります。

    また、認知の手続きによって認知された子どもは、父親の相続人になります。なお、認知された子どもの法定相続分は、嫡出子と同じです。

    認知がなされると、父親の戸籍に認知の事実が記載されます。そのため認知を隠しておきたかったとしても、家族が戸籍謄本などを取得すれば、認知の事実は周囲に明らかになります。

2、認知の取消しができる場面は限られる

認知の取消しに関しては、民法785条に規定があります。

第785条 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。


子どもにとっても、実の父親には変わりないのに、父親の気分次第で父子関係が安定しない状況におかれるのは、望ましいことではありません。したがって、法律上、認知は、親から取り消すことはできません

しかしながら、認知した子どもが実の子でない場合には、認知が無効であると主張したえうで、認知が無効と認められる可能性があります。

そのため、現在の通説的な見解によれば、例外的に認知の取消しが主張できるのは、成人した子どもを認知するにあたり、被認知者の承諾を欠いている場合等に限られるとされています。

3、自分の子どもでなければ認知を無効にできる

  1. (1)認知の無効主張に関する規定

    先ほど認知の取消しに関する民法第785条の規定をご紹介しましたが、民法第786条には以下のような規定があります。

    第786条 子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。


    法文中の“認知に対して反対の事実”とは、子どもと父親について親子関係がないという事実のことをいいます。

    たとえばAには妻Bとの間にCという子どもがいますが、浮気相手に認知を迫られ自分の子どもではないことを知りながらもDを認知していたとします。このようなケースでAが亡くなれば、妻Bと実子Cのほかに、Dも相続人になります。

    しかしBとCからすれば、Aと血がつながっていないのにDが相続権を得るのは納得できないものでしょう。民法786条では、BやCなどの利害関係人が、Dの認知について無効主張をすることを認めています

  2. (2)父親からの無効主張も認められる

    そこで問題になるのが、認知された子ども自身や利害関係人が認知の無効主張をすることはできても、父親自身が無効主張することは第785条との関係で認められないのではないかという点です。特に父親が自分の子どもではないと知りながら認知したときにも、認知無効を主張できるとすれば、子どもにとって父子関係が安定しなくなってしまう可能性があることが問題とされていました。

    この点について、最判平成26年1月14日民集68巻1号1頁は、認知者自らがしたことを重視して認知者の無効の主張を一切許さないと解することはできず、利害関係人による無効の主張が認められること(民法第786条)等を理由に、父子関係がないことを理由とする無効の主張が民法第785条の規定により妨げられることはないとし、民法第786条の利害関係人には父親自身も含むものとされています。そして、認知をした父親が、血縁上の父子関係がないことを知りながらした認知であっても、認知の無効を主張することができるとされています。

  3. (3)認知の取消し、無効の手続き

    認知の取消しや無効の手続きは、当事者の合意だけではできません。家庭裁判所に調停の申し立てまたは訴訟提起等をしたうえで、調停、審判、判決を得る必要があります。裁判所での手続きでは、父子関係についての聴き取りやDNA鑑定、認知をするに至った経緯の聴取などが行われます。

    そして、上記の手続きを経たうえで、裁判所からの書類と共に、戸籍の訂正を申請する必要があります。

4、認知の取消し、無効の手続きは弁護士に一度ご相談を

認知の取消し、無効の手続きを検討している場合には、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。認知の取消し、無効などの問題は、当事者や家族などに大きな影響を与えるため、トラブルに発展するケースは少なくありません。そのため、無理に当事者だけで解決をはかろうとすることなく、早くから第三者に相談することも選択肢に入れるとよいものでしょう。

弁護士に相談したときには、弁護士が代理人として相手と交渉することができます。弁護士が関与することで、感情的な意見の対立を防ぎ、冷静な話し合いが実現できる可能性が高くなります

また、認知を取消しし、無効とするためには、家庭裁判所での手続きを経る必要がありますが、弁護士は裁判所に提出する書類を作成したり、時期に応じた適切な主張や立証をしたりすることができます

そのためご相談者のご希望に近い形で、解決をはかることも期待できます。

5、まとめ

本コラムでは、認知の取消し、無効の手続きについて解説していきました。一度認知した場合には、認知の取消しをすることはできないのが原則です。しかし血縁上の父子関係がない場合には、無効と判断される可能性もあります。

ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスでは、弁護士が認知等の問題を含む離婚・男女問題に関するご相談に応じています。おひとりで悩むことなく、ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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