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損害賠償請求をしたいときの進め方は? 請求可能な条件から手順まで

2021年12月23日
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損害賠償請求をしたいときの進め方は? 請求可能な条件から手順まで

高崎市では、損害賠償請求などの手続きに困っている市民に向けて、職員による一般相談を受け付けています。日常生活のなかで起きたさまざまなトラブルを解決する手段のひとつが「損害賠償請求」です。相手の行為によって被った損害について金銭で賠償を求める手続きで、ニュースなどでは「原告は被告に対して総額◯◯万円の損害賠償を請求している」などと表現されています。

本コラムでは「損害賠償請求」をテーマに、損害賠償請求が認められる要件や請求できる金額の範囲、手続きの一般的な流れをベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、損害賠償請求ができる要件

実際に損害が発生していればどんな理由でも損害賠償を請求できるというわけではありません。民法が定める要件を満たしていないと、損害賠償請求が裁判などで認められることはありません。では、どのような要件がそろえば請求できるのでしょうか。

  1. (1)相手の不法行為にもとづく損害が発生していること

    民法第709条は「不法行為による損害賠償請求権」を定めています。故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した場合、損害を与えた者は賠償の責任を負うことになることが規定されています

    たとえば、次のようなケースでは、相手の不法行為によって生じた損害に対する賠償の請求が可能です。

    • ケンカになって相手から殴られて怪我をし、病院での治療や休業を余儀なくされた
    • 相手の不注意による交通事故で、怪我を負わされた
    • 配偶者が不倫をし、精神的苦痛を受けた
    • インターネット上で誹謗中傷を受けて名誉を傷つけられた


    不法行為にもとづく損害賠償請求が有効となるのは、次の5点を満たす場合です。

    • 加害者に責任能力がある
    • 加害者に故意または過失がある
    • 加害者の行為に違法性がある
    • 被害者に損害が発生している
    • 加害行為と損害との間に因果関係がある


    これらの要件に照らすと、責任能力のない子どもが加害者である、スポーツなどの正当行為のなかで生じた損害である、言いがかりのような内容で因果関係がないといったケースの損害賠償請求は認められません。なお、責任能力のない子どもが加害者である場合でも、その保護者が損害賠償義務を負うことはあります

  2. (2)相手の債務不履行によって損害が発生していること

    民法第415条では、「債務不履行による損害賠償」を定めています。債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき、または債務の履行が不能であるとき、債権者は債務者に対する損害賠償の請求が可能です

    たとえば、ここで挙げるようなケースは債務不履行を理由とした損害賠償請求が認められる可能性があるでしょう。

    • 仕入先の都合で材料が確保できなくなり、指定期日に商品を納入できなかった
    • 売買契約を交わしたのに指定期日に物が引き渡されなかった
    • 契約期間を過ぎたのにレンタカーを返してもらえなかった


    債務不履行を原因とした損害賠償請求が認められるのは、次の4つの要件を満たす場合です。

    • 当事者間で契約を締結している
    • 相手が債務を履行していない
    • 被害者に損害が発生している
    • 債務不履行と損害との間に因果関係がある


    なお、民法第415条1項は「債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」について、債務不履行による損害賠償責任が生じないという例外を設けています。

    これを「帰責事由」といいます。帰責事由がないことは、債務者が立証する責任を負います

    ただし、帰責事由がある場合は債務者が賠償責任を負わないため、請求の可否を決める重要な要素だと考えられています。

2、請求できる金額は?

損害が発生した場合でも、損害の種類によっては賠償されないおそれがあります。一方で、直接的に生じた損害ではなくても賠償を求めることができる可能性もあるので、どのような損害が請求の対象になるのかの区別は重要です。

損害賠償請求が可能な損害の種類や実際に請求できる金額の基準・算定方法を確認していきましょう。

  1. (1)賠償を求めることが可能な損害の種類

    損害賠償請求が可能な損害には、次の3種類があります。

    ● 積極損害
    相手の加害行為があったことで、積極的に財産を失わざるを得なかった場合の損害を指します。
    物品の修理費用や怪我の治療費などが該当します。

    ● 消極損害
    相手の加害行為がなければ本来は被害者が得られたはずであった、相手の加害行為によって得られなくなった利益を指します。
    たとえば、怪我で休むことがなければ仕事によって得られていたはずの収入を指す「休業損害」や、怪我の後遺症などがなければ将来得られるはずだった将来の収入を意味する「逸失利益」が該当します。

    ● 精神的損害
    不法行為によって被害者が受けた精神的苦痛を指します。精神的苦痛を金銭に換算したものが、いわゆる「慰謝料」です。
  2. (2)請求可能な金額の基準と一般的な算定方法

    3つの損害のうち、積極損害については領収書・請求書・見積書などによって具体的な金額を算出しやすいため、賠償額の算出は比較的に容易です。

    一方で、得られるはずだった利益の喪失を指す消極損害や、目に見えない精神的苦痛を指す精神的損害は、具体的な金額の算出が難しいため、当事者間の争いが生じやすくなります。そこで、消極損害や精神的損害のように損害額の算出が難しいものについては、同じようなケースで争った過去の裁判例を基準として損害額を決めるのが一般的です。

    たとえば、交通事故における慰謝料を算定する際には、蓄積された裁判例をベースとして怪我の程度と入院・通院の期間をもとに金額の目安を定める「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」が活用されています。

    とはいえ、いずれの損害を被った場合でも、当事者間で損害額について争いが生じるケースはめずらしくありません。自分が算出したあるいは相手から提示された損害額が妥当であるのかを知りたいといった悩みがある場合は、弁護士に相談してアドバイスを受けるべきです

3、損害賠償請求の方法と一般的な流れ

損害賠償請求の方法や一般的な流れをみていきましょう。

  1. (1)損害賠償請求の方法

    「損害賠償請求」という用語は非常に堅苦しく感じられるもののようです。そのためか、すぐに訴訟となることをイメージする方も多いでしょう。

    しかし、損害賠償請求の方法は訴訟だけに限りません。

    損害賠償請求の方法は次の3つです。

    ● 交渉
    当事者が裁判外で話し合い、和解する方法です。和解が成立したら、合意書などを作成するケースが一般的でしょう。

    ● 調停
    簡易裁判所の調停委員を介して、当事者が話し合いによって解決する方法です。当事者間の話し合いを取り持つ制度であり、裁判所や調停委員がその内容を決定するわけではありません。最終的に、調停で話し合いを重ねた結果合意した内容は、調停調書にまとめられ、判決と同じ効力が与えられます。

    ● 訴訟
    裁判所に損害賠償請求の訴訟を提起し、証拠に照らしながら裁判官の判断を仰ぐ方法です。140万円以下の請求については簡易裁判所、140万円を超える請求は地方裁判所に申し立てを行います。
  2. (2)損害賠償請求の一般的な流れ

    加害者に対して損害賠償を請求する場合、まずは示談交渉を進めるのが一般的です。内容証明を郵送して支払いを求め、面談の機会を設けて話し合うなどといった方法で、任意での支払いを求め解決することを目指します。

    当事者だけでは話し合いが進まない、あるいは加害者が面談を拒むといった場合は、簡易裁判所に調停を申し立てることもあります。個人からの請求や示談交渉を拒む相手も、裁判所からの要請を受ければ話し合いに応じる可能性は高いでしょう。

    また、他の手段では加害者が賠償金の支払いに応じない場合、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起することになります。裁判官が下した判決には強制力があり、たとえ相手方が支払いを拒んでも強制執行手続を行って相手方の財産の差押えを行うことも可能です

4、弁護士に依頼すべきケース

自分自身で損害賠償請求を進めるのが難しい場合は、弁護士にサポートを求めましょう。
次に挙げる3つのケースに該当する方は、弁護士への依頼をおすすめします。

  1. (1)請求額が決まらないとき

    積極損害のなかでもどこまで請求できるのかわからない、消極損害の算定方法がわからないといった場合は、弁護士に相談しましょう。

    証拠・資料をもとに、同様のケースでどのくらいの範囲の請求が認められてきたのかを判断し、請求額の算定をサポートします

  2. (2)相手との直接交渉が難しいとき

    示談を進めようにも相手が連絡に応じない、内容証明を送付しても返信がないなど、相手との直接交渉が難航しているケースも、弁護士への依頼を検討したほうがよいでしょう。

    トラブルの当事者となって警戒心を強めている加害者も、弁護士からの連絡であれば素直に応じる可能性があります

  3. (3)相手との主張が食い違うとき

    相手との主張が食い違う場面でも、客観的な証拠を収集することなどでこちらの主張の正当性を示せます。

    加害者がかたくなに賠償を拒む場合でも、状況に応じて示談交渉・調停・裁判など請求方法を選択するので、適切な解決が期待できるでしょう

5、まとめ

不法行為や債務不履行によって損害を被った場合は、加害者に対する損害賠償請求によって回復を図ることが可能です。ただし、損害の種類や損害額の算定や交渉は難しい点が多いため、当事者だけで策を練っても解決できない場面は少なくありません。また、加害者との交渉が難航し、得られるはずの賠償が受けられないといったケースは多々あります。

何らかの損害を受けたことで損害賠償請求を検討している場合は、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。さまざまな法律トラブルの解決実績を豊富にもつベリーベスト法律事務所 高崎オフィスにご相談ください。損害の範囲や損害額の算定、加害者との交渉など、法的に適切な対応で損害賠償請求を進めます。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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