【前編】残業代請求を弁護士に依頼した場合の費用について高崎オフィスの弁護士が解説
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残業代の賃金不払い問題は、高崎市だけでなく全国で起こっています。労働基準監督署が是正指導した結果、平成29年度だけで総額約446億円が支払われたと報道されています。
残業代請求は労働者に認められた正当な権利です。しかし、是正指導されても支払わないというケースもあり、未払いの残業代請求を自身で交渉することの困難さを実感している方も少なくないでしょう。
そこで、残業代請求を弁護士に依頼した場合の費用相場や内訳をベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。
1、残業代請求を弁護士に依頼したときの費用相場や内訳は?
弁護士に支払う費用全体を「弁護士費用」とひとまとめにして表現するケースが多いようです。しかし、実のところさまざまな項目で費用が発生し、依頼者が支払うことになります。
まずは弁護士費用の内訳とその相場を確認しましょう。弁護士に依頼したときの費用や請求される項目は各事務所によって大きくばらつきがあります。必ず個々で確認し、ここで提示した金額はあくまでも「目安」として参考にしてください。
- 相談料 相談料とは、弁護士に交渉を依頼する前に、依頼する内容を伝えてアドバイスをしてもらったり、対応策を一緒に考えたりする際の費用のことです。多くの弁護士事務所では、相談の際に「依頼した場合の費用」も説明します。
- 着手金 着手金は、残業代請求の成功失敗を問わず弁護士に正式に依頼をする場合に支払う費用です。着手金は「無料」という事務所もあれば、案件によって異なる金額を設定している事務所もあります。
- 手数料 手数料とは、各弁護士事務所が「裁判の場合は4万円、交渉は1万円」などとあらかじめ決めているものです。「事務手数料」と記載されていることもあるでしょう。数万円から10万円以上と大きく幅があるため、契約前に確認しておくことが大切です。
- 実費 実費とは、調停や裁判などの際に必要な「印紙代」や、遠方の裁判所に行く際の交通費、郵送の際の切手代などです。解決後にまとめて請求されます。
- 日当 日当とは、弁護士が調停や裁判などに出廷した際に請求される費用です。交渉や裁判の回数はもちろん、移動距離が長ければ長いほど拘束時間も伸びるため高額になる傾向があります。
- 成功報酬 成功報酬とは、案件が解決して「経済的利益」があった際に支払う費用です。
「初回相談は無料」「特定分野の相談であれば何度でも無料」としている事務所もあります。相談料自体は、実際に相談した際に支払うことが多い傾向にあります。
法律事務所によっては「残業代請求に失敗した場合は支払う必要がない」と規定している場合もあります。残業代請求ができるかどうか不安な方は「成功報酬制」の弁護士事務所を探してみるとよいでしょう。
2、残業代請求を自分で行う方法と弁護士に依頼するメリット
残業代請求を自身で行う方法と弁護士に残業代請求を依頼するメリットを解説します。依頼すべきか迷ったときは参考にしてください。
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(1)残業代請求を無料で行う方法
実は、残業代請求は個人でも行うことができますし、無料で相談できる機関もあります。
原則として、残業代を請求するために必要なのは「残業をしていた証拠」です。したがって証拠さえ確保していれば、会社に証拠とともに残業代の請求書を提出すればよく、理論的には個人での残業代請求そのものは可能です。しかし、元々残業代を支払わない会社がすんなりと認めて支払ってくれることは少ないと考えられます。
交渉の余地がないときは、労働基準監督署等の公的機関で残業代未払問題を相談できる期間を利用することもひとつの手です。事情を聞いた上で残業代未払が「違法である」と判断されれば、会社側に是正勧告などの指導を行います。
ただし、労基署の勧告には法的拘束力はなく、未払いの残業代を差し押さえることはできません。労働環境が改善される可能性はありますが、個人の残業代請求を代行してくれるわけではない点に注意が必要です。
大企業であれば、会社名が開示されることで社会的地位が失墜する可能性が高いので残業代を支払うことが多い傾向があります。地元の中小企業の場合、労働基準監督署の勧告を一切無視するケースも考えられます。
実際に、「労働基準監督署に相談したけど効果がなかった」と相談に訪れる方が少なからず存在します。個人での残業代請求は不可能ではありませんが、満額を受け取れなかったり、確実に受け取れなかったりすることがあり得ます。 -
(2)弁護士に残業代請求を依頼するメリット
- 交渉に伴うストレスから解放される 弁護士に残業代請求を依頼すれば、原則として会社側との交渉は弁護士が行うので、会社との交渉から解放されます。
- 訴訟等を見据えた活動ができる 弁護士に残業代請求を依頼する最大のメリットは、訴訟等を見据えた活動が期待できることです。前述のとおり、個人での残業代請求は、会社から相手にされない可能性があります。
会社側と従業員との交渉は想像以上にストレスが大きいものです。証拠を集めたあと弁護士に依頼すれば、あなたがやるべきことは弁護士との打ち合わせと進捗状況の連絡を受けることだけです。ストレスを感じることなく残業代請求をしたいと考える方は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
そして、相談の時点では、残業代の証拠自体が乏しい、またはない場合もあるでしょう。訴訟を見据えていかなる証拠が必要かについてアドバイスをすることもできます。
後編では、弁護士に依頼しても残業代請求できないケースと、弁護士費用の負担を少しでも軽くする方法について解説します。
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