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チケットなどの転売で警察に捕まる可能性とそのときはどうすべきか

2020年06月04日
  • 財産事件
  • 転売
  • 捕まる
チケットなどの転売で警察に捕まる可能性とそのときはどうすべきか

平成29年、群馬県を含む6県20校で、高校野球部の部室からバッドやボールを盗んで転売していたグループが逮捕されたというニュースがありました。盗まれたボールは、インターネット上の譲渡サービスを経由して売られていたそうです。

コンサートチケットやブランド品の転売を依頼され、特に何の疑いも抱かずに、自分のアカウントで転売するというケースはよく見受けられます。インターネットでも、さまざまな商品を「売ります! 買います!」と謳っているサービスが多くあります。しかし中には事件のように、転売を依頼された商品が盗品であった場合があり、トラブルに発展する事例もあるようです。

今回はライブチケットのダフ屋行為なども含めた転売行為の違法性や問われる可能性のある罪について、高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、ライブチケットなどの転売行為は違法?

  1. (1)チケット不正転売禁止法

    かつては、コンサート会場の外に人気アイドルグループのライブチケットを買い占めたダフ屋が、チケットが手に入らなかったファンを狙って高値で販売する様子をよく見かけたと思います。ダフ屋行為とは、主に、転売目的で購入したチケットを、会場近くなどの路上など、公共の場所等において高値で販売する行為を指します。

    このダフ屋行為は、そもそも、都道府県ごとに定められている迷惑行為防止条例によって取り締まりの対象となっていました。群馬県においては、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という条例です。群馬県内でダフ屋行為をして有罪になれば、50万円以下の罰金または拘留に処される可能性があります(同条例第6条、第11条)。

    近年では、ダフ屋の姿はあまり見かけなくなりましたが、インターネット等では、SNSやチケット転売サイトなどを活用した高額転売の事例が散見されます。転売・譲渡を装った詐欺事件も多発していることから、長らく問題視されていました。しかし、公共の場所等での販売に当たらないことから、取り締まりができない状態にあったのです。

    しかし、令和元年6月14日、「チケット不正転売禁止法」(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が施行され、一定の要件を満たすチケットの転売について、法律で規制されることになりました。

  2. (2)規制対象となるチケットは?

    チケット不正転売禁止法で規制されるチケットは、「特定興行入場」と呼ばれるものであり、次の要件を満たす必要があります(チケット不正転売禁止法第2条参照)。

    ●不特定または多数人が見たり、聴いたりする「興行」(日本国内で行われるものに限る)であること
    映画、演劇、演芸、音楽、舞踊等の「芸術・芸能」と野球、サッカー等の「スポーツ」が該当します。そのため、列車の乗車券やアトラクションの整理券は対象外となります。

    ●それを提示することにより興行を行う場所への入場が可能となること
    紙媒体に限られず、デジタルチケットの場合も含まれます。

    ●不特定または多数人に販売されているものであること
    チケットそのものが興行主から販売されている場合をいいます。そのため、イベントの招待券は無償であれば規制の対象外となります。

    ●興行主やその委託を受けた販売業者が、①販売時に同意のない有償譲渡を禁止し、②入場資格者か購入者の氏名・連絡先を確認したうえで、③①および②が券面に記載されていること
    このうち、②については具体的な氏名等である必要はなく、「この入場券は、購入者の氏名や連絡先を確認したうえで販売しています。」との記載で十分です。

    ●工業の日時、場所のほか、入場資格者か座席が指定されている
    この場合、入場資格者が指定されておらず、自由席にとどまる場合には、規制の対象外になりますが、自由席であっても入場資格者が指定されている場合には、規制の対象となります。

  3. (3)絶対に譲渡はできない?

    チケット不正転売禁止法で規制しているものは、「特定興行入場券の不正転売」です(同法第3条、第2条第4項)。
    「特定興業入場券の不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものと規定されています。

    つまり、イベントやコンサートなどの主催者が定価以上の金額での譲渡を禁じているにもかかわらず、不特定多数の者に対して販売価格を超える価格で該当のチケットを反復継続して転売する行為が規制対象となります。

    つまり、大量に何十枚もチケットを仕入れて転売する行為を繰り返していたようなケースでは、有罪になる可能性があるということです。
    法定刑は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、もしくはその双方と規定されています(同法第9条)。

  4. (4)購入することもダメ

    チケット不正転売禁止法では、第4条において「何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。」と規定しています。

    したがって、購入した方も罰せられる可能性があることを知っておきましょう。有罪になったときは、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、もしくは双方が科される可能性があります(同法第9条)。

2、古物営業法と違反行為

  1. (1)古物営業法とは

    チケット以外にも物を転売する行為については、「古物営業法」という法律で規制を受けることがあります。聞き慣れない法律かと思いますので、以下に説明します。

    古物の中には、窃盗などの被害品などが紛れ込んでいる可能性があることから、これらの犯罪防止や被害を防ぐ目的で、古物営業に関連することについて定めた法律です。

    ●古物
    一度使用された物品や、新品でも使用するために取引された物品または、これらになんらかの手を入れた物品を「古物」といいます。

    ●古物商
    古物営業法に規定される古物を、業として売買または交換等をする業者・個人のことをいいます。
    古物商を営む際には、各都道府県公安委員会の許可が必要になります。

  2. (2)古物営業法違反とは?

    古物営業法では、たとえば次のような行為をした場合には刑罰が科される可能性があります。

    • 無許可営業
    • 古物営業法許可の名義を貸す行為
    • 営業停止命令を受けているにもかかわらず営業を続ける行為

    これらのうち、個人がアプリなどを用いて転売を繰り返すことは無許可営業にみなされる可能性が高い行為です。

    古物営業法違反として取り締まりを受けて有罪になれば、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処されます(同法第31条各号)。これ以外にもさまざまな規定や罰則があり、違反の内容によってはたとえ許可を得ていたとしても取り消されてしまうこともあります。

3、盗品を転売した場合の罪と量刑

  1. (1)盗品譲受等罪

    盗まれた商品を転売してしまった場合、刑法第256条に規定されている「盗品譲受等罪」として取り締まりを受けます。条文は以下のとおりです。

    刑法第256条(盗品譲受け等)
    盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
    2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。


    盗品を無償で譲り受けると3年以下の懲役、さらに盗品と知りつつ転売する行為をすると、10年以下の懲役および50万円以下の罰金に処される可能性があるのです。盗品譲受等罪で規定されている刑罰は、詐欺罪や窃盗罪よりも重く、厳しい処罰を受けることになるでしょう。

    ただし、盗品を転売することで罰せられるかどうかの基準のひとつは「盗品であることを知っていたかどうか」です。当然のことながら、盗品であることを知っていて転売を請け負えば、処罰される可能性が出てくるでしょう。なお、実際に売買の契約が成立しなくても罪は成立します。

  2. (2)詐欺罪

    盗品だと認識しながら、盗品でないと偽って転売する行為は、購入者をだますことになるため刑法第246条1項の詐欺罪に問われます。他人をだますことで利益を得ることから非常に重い罰則が科され、10年以下の懲役となります。また悪質であれば、たとえ初犯であっても実刑判決が下ることがあることを知っておきましょう。

  3. (3)盗品と知らなかった場合

    盗品だと知らずに転売をした場合、たとえ警察などに出頭を求められたとしても、それを認められれば、基本的には盗品等譲受罪に問われることはありません。

    ただし、本当に知らなかったのかについて、捜査機関から厳しく追及されるおそれはあります。万が一の際は弁護士に相談することをおすすめします。

4、まとめ

いかがでしたか? これまではチケットの転売は規制する法律がなく、各都道府県の迷惑防止条例で取り締まっていました。しかし、それではなかなか有効性がなかったため、新たな法律として「チケット不正転売禁止法」が施行されました。

また、チケット以外の転売も、ご紹介したように気を付けなくてはなりません。ネットが普及して、転売サービスが気軽に利用できるようになったことから、知り合いに何気なく依頼された転売商品を売ったのち盗品だったと判明して事件になるという可能性は十分あります。

転売した際は知らなかったとしても後から事実を聞かされるなどした場合、自分が罪に問われるのではないかと不安になることでしょう。

もし盗品の転売行為にかかわってしまったのではないかと不安を感じることがあれば、ベリーベスト法律事務所・高崎オフィスにご相談ください。弁護士が、お悩みを解決すべく尽力します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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