X(旧Twitter)でのリポストやDMで性犯罪になりうる行為とは?

2023年11月20日
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X(旧Twitter)でのリポストやDMで性犯罪になりうる行為とは?

X(旧Twitter)は、利用者が世界で5億4000万人を超えたことが公表されているソーシャルメディア・プラットフォームです(令和5年7月28日発表)。個人利用のみならず、各種メディア、公官庁も利用しており、たとえば令和5年6月には南太平洋の島国ナウルのフォロワー数が群馬県高崎市の人口に並んだと投稿し、話題を呼びました。

だれでも自由に発信できることから、非常に多くのユーザーが利用しているSNSのひとつですが、当然のことながら、なんでも投稿してよいという場所ではありません。特に、わいせつな画像、性犯罪につながりかねない投稿には注意が必要です。

本コラムでは、X(旧Twitter)を利用する際に問われる可能性がある性犯罪を中心に高崎オフィスの弁護士が前後編で解説します。

1、X(旧Twitter)にわいせつな画像を載せてしまったら犯罪になるか?

そもそも、X(旧Twitter)では「センシティブなメディアに関するポリシー」として、わいせつな画像の投稿を許可していません。規約違反としてアカウントそのものが使用できなくなる可能性があるでしょう。

それ以上に、X(旧Twitter)は今や、一般市民に広く情報を伝達する十分な影響力をもつメディアのひとつと考えられます。したがって、わいせつな画像をX(旧Twitter)に投稿すれば、公共の場でわいせつな画像をばらまいていることと同じと判断され、処罰される可能性があります。

  1. (1)わいせつ物頒布等罪

    刑法第175条において、わいせつ物(わいせつな文書や図画や電磁的記録に係る記録媒体その他の物)を頒布、販売、公然と陳列したときや、販売目的で所持等をしたときには、わいせつ物頒布等罪が成立すると規定しています。

    したがって、X(旧Twitter)にわいせつな画像をだれでも見られる状態で載せたときには、わいせつ物を公然と陳列したとして、わいせつ物頒布等罪に問われる可能性があります。

    ただし、「わいせつ」にあたる画像の定義は、刑法第175条では示されていません。過去の判例や検挙の実態と照らし合わせ、「性器が明確にわかる写真や画像」のことを指すことが一般的です。

    わいせつ物頒布等罪で有罪となれば「2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料に処し、または懲役および罰金を併科」されることになります。

  2. (2)わいせつ物頒布等罪以外に該当する可能性がある犯罪

    X(旧Twitter)にわいせつ画像を載せたときには、わいせつ物頒布等罪以外にも次のような罪に該当する可能性があります。

    ●私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)違反
    別れた交際相手をおとしめるために、交際中に撮影した性交の様子や裸の画像をインターネットやX(旧Twitter)などに載せることを「リベンジポルノ」といい、社会的な問題となっています。これらを取り締まるために平成26年に施行された法律です。

    個人的な関わり合いで得た性的な画像を、第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて不特定または多数の者に提供した場合、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」を科せられることになります。

    ●児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法)違反
    「わいせつ」な画像のなかでも、男女を問わず「18歳未満の児童のわいせつ写真」を載せた場合は、より厳しい刑罰が科せられる可能性があります。

    児童ポルノ禁止法第2条第3項において定義されている「児童ポルノ画像」をX(旧Twitter)でだれでも見られる状態でアップすると、同法第7条第6項の「不特定多数への提供または公然と陳列した場合」に該当する可能性が高まります。

    法定刑は「5年以下の懲役」もしくは「500万円以下の罰金」またはその両方が科せられます。

2、何気ないアクションが問題に? X(旧Twitter)使用上の注意点

自分自身がわいせつな画像を投稿しなければ大丈夫、と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、X(旧Twitter)を利用する上で、逮捕される可能性のある行動は他にもあります。

  1. (1)わいせつな画像のリポスト(旧リツイート)に注意

    X(旧Twitter)における「リポスト(旧リツイート)」とは、自分または他人のツイートをそのまま自分のアカウントで再投稿する機能です。特定のツイートを、自分のアカウントのタイムラインに表示させることで、より多くの他人の目に触れさせることができます。

    したがって、わいせつな画像の投稿をリポストしてしまったときには、わいせつな画像を「公然と陳列」したとみなされる可能性があると考えておきましょう。

  2. (2)わいせつな画像の保存に注意

    X(旧Twitter)上のわいせつな画像を保存する場合も、注意が必要です。保存した画像を転売するなど販売目的で所持したとみなされれば、前述のわいせつ物頒布等罪に該当する可能性があります。これは、公開されている投稿からの保存はもちろん、鍵垢と呼ばれる公開範囲が限られているアカウント、DMなどへ送られてきた画像や動画も同様です。

    また、わいせつな画像が「児童ポルノ」に該当すれば、自己の性的好奇心を満たす目的で所持・保存しているだけでも、児童ポルノ所持罪に問われるでしょう。法定刑は「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」と規定されています。

  3. (3)X(旧Twitter)を通じた未成年との出会いに注意

    利用規約によると、X(旧Twitter)は13歳以上であれば未成年者の児童でも利用できます。年齢を問わない交流ができることはSNSの大きな魅力のひとつですが、安易に援助交際やパパ活などのキーワードから出会いを求めることは、非常に危険を伴うことを認識しておきましょう。

    結果、児童ポルノ禁止法における児童買春罪で有罪となれば、「5年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処されます。

    なお、性犯罪に関係する刑法が改正され、令和5年7月に施行されています。したがって、性的目的でX(旧Twitter)を通じて未成年者と親しくなったのちにコントロールする「グルーミング」と呼ばれる行為をした場合、規制の対象となりました。詳しくは以下のコラムをご確認ください。
    【弁護士が解説】不同意性交等罪への改正で、性犯罪の規定はどのように変わるのか
    「4、性的目的で子どもを手なずけてコントロールする「グルーミング」も犯罪に」


    さらに、群馬県青少年健全育成条例でも、第35条において18歳未満の青少年に対するみだらな性行為やわいせつ行為を禁じています。罰則は「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」と定められています(同条例第53条)。また、相手の年齢が18歳未満だとわからなかった場合でも、知らなかったことに対する過失がない場合を除き、罰則を逃れることはできません(同条例第60条)。

    さらに、群馬県青少年健全育成条例は令和3年改正され、未成年者に対して、自身の裸の画像や動画を送るよう求める行為も規制対象となりました(令和3年7月1日施行)。未成年者に対して、拒まれたのに何度も要求したり、脅したり、だましたり、お金を払うなど対償を約束するなどの方法を用いて、児童ポルノ画像や動画を要求した場合、30万円以下の罰金に処されます(同条例第35条の2、第57条第9号)。

    X(旧Twitter)を通じた出会いから重大犯罪にいたるケースは続発しており、警察はX(旧Twitter)上で犯罪につながりうる投稿を監視する活動を強化しています。もし被害者が訴えなかったとしても、警察が認知すれば逮捕される可能性があるのです。

  4. (4)名誉毀損(きそん)罪やストーカー規制法違反に注意

    他人の名誉を傷つける内容をX(旧Twitter)に載せる行為は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

    また、特定の者に対し、著しく粗野で乱暴な言動をしたり、名誉を害したり、性的羞恥心を害したりする内容を何度もツイートして、相手が不安を覚えた場合は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、通称ストーカー規制法違反に問われる可能性もあります。ストーカー規制法の法定刑は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。

    さらに、すでに警察などから禁止命令等が出ているとき、それに違反してストーカー行為をした場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処される可能性があるでしょう。

3、犯罪行為をしてしまったかも? というときには弁護士に相談を

X(旧Twitter)にわいせつな画像を載せてしまった、リポストなどを頻繁にしていた……など、犯罪にあたる行為をしていて、警察から連絡がきたときは、まず弁護士に対処方法を相談することをおすすめします。その時点の状況によって、取るべき対応を提案します。

また、性犯罪の被疑者として逮捕されてしまった場合には、逮捕から勾留が決まるまでだけで最長72時間も身柄が拘束され、その間の面会が制限されます。そのあと勾留が決まってしまうと、さらに起訴か不起訴が決まるまでの間だけで最長20日間も、自宅に帰れないどころか仕事や学校へ行くこともできなくなります。学校や職場などに与える影響を最小限にするためにも、一刻も早く弁護士に弁護を依頼しましょう。

弁護士であれば、逮捕直後から被疑者と自由に接見できます。家族との連絡をはじめ、今後の対応についても、状況に適したさまざまなサポートを行います。

早期釈放のためには、弁護士を通じて捜査機関に対し反省を示し、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを訴えることが必要です。被害者が特定されている場合は、まずは迅速に示談交渉を行うことで、釈放や不起訴獲得を目指します。

釈放され、在宅事件扱いとなった場合も、起訴不起訴が決まるまで、意見書の提出や取り調べで不利にならないようアドバイスができるでしょう。起訴となった場合も、引き続き、重すぎる量刑が科されないための弁護活動を行います。

特に、無罪を主張するのであれば、弁護士の存在は欠かせないものとなります。あなた自身はもちろん、家族が逮捕されてしまったときは、いち早く弁護士に相談してください

4、まとめ

X(旧Twitter)は、一種の公共の場です。ひとたび投稿(ポスト)すれば、全世界に拡散される可能性があります。軽い気持ちによる手軽な操作であっても、わいせつな画像やわいせつな言葉を何度も投稿することや、わいせつな行為を目的とした交流をすることは、自分の将来を棒に振るはめになることもありうるのです。

もしあなたが保護者であれば、自分の子どもが加害者となる可能性も考えておくべきでしょう。投稿内容によっては、逮捕される可能性もありますし、被害者となった相手から多額の損害賠償を請求されるケースもあります。

もしX(旧Twitter)などで犯罪になるような行為をしてしまい、警察から連絡がきたときは、ひとりで悩まずにベリーベスト法律事務所 高崎オフィスへ相談してください。インターネット上のトラブル対応に長けた専門チームとともに、高崎オフィスの弁護士が、生活への影響が最小限となるように対策を提案します。

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