不貞行為で相手方配偶者から慰謝料請求! どうすればいい? 対処法を解説

2018年12月12日
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不貞行為で相手方配偶者から慰謝料請求! どうすればいい? 対処法を解説

現在、高崎市に限らず、離婚する夫婦が増加しており、離婚は決してひとごとではありません。そして、離婚の大きな理由のひとつが不倫です。既婚者と不倫関係に陥り、相手の配偶者からも慰謝料を請求されてしまうケースでは、激しく責め立てられて苦しむことになります。

ここでは、既婚者との不倫関係が不倫相手の配偶者に発覚してしまい、慰謝料請求を受けたときの対処法と、弁護士に依頼するメリットを解説します。

1、まず確認しておきたい、「不貞行為」とは

日常の雑談などで「どこからが不倫になるのか」や「何を境界線に不倫が成立するのか」などの会話を交わした経験がある方も多いのではないでしょうか。

浮気・不倫・不貞行為などの用語が頭の中で混同してしまっている方も多いので、まずは「不貞行為」について確認しておきましょう。

  1. (1)不貞行為の定義

    「不貞行為」とは、単なる一般的な用語ではなく、法的な根拠がある用語です。

    「不貞行為」とは、民法第770条第1項第1号に定める法定離婚事由のひとつで、「配偶者ある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであって、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解する。」とされています(最高裁第一小法廷昭和48年11月5日(判タ303号141頁))。
    もっとも、不貞行為をした場合に、慰謝料請求権が発生する際の根拠は、不法行為(民法709条)であり、離婚訴訟における「不貞行為」を主張する場合の根拠条文が異なります。
    そのため、裁判所は、不法行為と評価されるべき不貞行為の意味を、必ずしも上記のように性的関係がある場合と限定的に捉えておらず、必ずしも性的関係を要求しない場合も含まれるとした裁判例も多数あります。
    以下では、不法行為と評価される「不貞行為」がいかなるものかを見ていきます。

  2. (2)不法行為(民法709条)と評価される不貞行為にあたるケース・あたらないケース

    すでに述べたとおり、不法行為と評価される不貞行為は、必ずしも性的関係(肉体関係)がある必要はなく、婚姻共同生活の平穏を害すると評価される場合には、不法行為と評価されます。男女間での不倫は、さまざまなケースが存在します。食事に行っただけの場合もあれば、手をつないだだけのケース、複数回の肉体関係を重ねるケースなどが挙げられるでしょう。以下では、どのような場合に、不法行為と評価される不貞行為かを見ていきます。

    ア  肉体関係を伴うものであった場合
    裁判所は、不貞行為の典型例を肉体関係と捉えています。そのため、肉体関係があった場合には、不法行為と評価されるでしょう。

    イ  面会や食事などに行ったケース
    過去の裁判例などからみても、面会や食事などに行ったのみであれば、不法行為と評価されるケースはほとんどありません。
    もっとも、面会の回数や頻度、面会の場所、これまでの関係性(元々肉体関係があったか)から、事案によっては、面会や食事などに行っただけでも、不法行為と評価される場合もあります。

    ウ  手をつないだりした場合
    手をつないだりした場合、不法行為と評価されるか否かはケースバイケースです。
    つまり、手をつないだ場所やこれまでの関係性など、手をつないだ際の状況などから、付保行為と評価されるか否か判断されることになります。

    エ  性風俗での性交など

2、不貞行為の相手方配偶者から請求される慰謝料額は?

不貞行為によって相手方配偶者から慰謝料の支払いを求められた場合、どれくらいの金額を支払うことになるのでしょうか?

まず大前提として、不貞行為の相手方配偶者からの慰謝料については、法的な決まりはありません。0円であろうと500万円であろうと、双方が合意すればいくらでも構わないのです。たとえば、相手方配偶者が「慰謝料などはいらない」といえば、慰謝料を支払う必要はありません。

ただし、裁判になったとき、慰謝料の金額は、次のような事情を勘案して決定されます。

  • 不倫相手との交際期間
  • 不貞の頻度
  • 相手方夫婦の婚姻期間
  • 交際に至った経緯
  • 相手方夫婦の離婚への影響
  • 妊娠事実の有無
  • 不貞行為による精神的苦痛の度合い


一律に「この場合はいくら」という決まりがあるわけではないので、上記の事情を考慮して判断されることになります。

3、慰謝料請求を受けた場合に気をつけたいポイント

不貞行為の相手方配偶者から慰謝料請求を受けた場合に、気をつけたいポイントがふたつあります。

一つ目は、「相手の主張を全て鵜呑みにしないこと」です。不貞行為をはたらいてしまうと、どうしても「申し訳ない」「慰謝料を請求されてしまっても仕方がない」と考えがちです。しかし、先ほど紹介したように、不貞行為とは呼べないというケースも存在します。また、相手方配偶者の請求が高額になっているケースも存在します。よって、何も考えずに相手の主張を鵜呑みにする必要はありません。まずは本当に不貞行為にあたるのか、慰謝料請求の金額が正当なのかを判断するため、相手が求めるがまますぐに慰謝料を支払ってしまわないようにしましょう。

二つ目は、可能な限り、「やり取りは文書で行うこと」を徹底しましょう。不貞行為が発覚すると、相手方はまず「直接会って物申したい」という姿勢になることもあるでしょう。不貞行為した側も、直接会って謝罪したいと思うかもしれません。しかし、興奮状態にある相手方と面接することは好ましくありません。また、電話でのやりとりも冷静ではなくなるケースが多々あるため、こちらが不利な発言をしてしまい、その発言が録音されていたら、不倫した側にとって過剰に不利益な結果となる可能性があります。

「不貞行為があった」と自ら認めることは、間違いなく相手方にとって有利であり、不貞行為した側にとっては不利になります。そのため、相手方とのやりとりは可能な限りすべて書面で行うか、弁護士を通じて対応することをおすすめします。書面で記載をするにしても、具体的にどのような記載をすべきか悩むことも多いと思います。そのため、相手方配偶者から慰謝料請求を求められた場合には、弁護士に相談するようにしましょう。

4、自身が不貞行為をしても弁護士に相談すべき?

自身が不貞行為をはたらき、相手方配偶者から慰謝料を請求されてしまうと「こちらが悪いのに、弁護士を依頼することはできない」と考えてしまいがちです。

しかしこのような考え方は、不利益を招きます。自身が不貞行為をはたらいたとしても、スムーズにトラブルを解決するためには弁護士を選任するべきです。相手方配偶者との交渉などを弁護士に一任することは、なんら不法でも不誠実でもありません。

自分自身だけでなく、相手方配偶者にとっても、間に法律の知識が豊富な弁護士が存在することは有益なことであると理解しておきましょう。

また、自分自身の身を守るためにも弁護士を選任するべきです。不貞行為の相手方配偶者は、非常に感情的になっているケースが少なくありません。とてつもなく高額な慰謝料を請求するだけでなく、不貞行為した側の社会的地位を失うような内容を要求するケースもあります。

不当な請求などをされてしまったときも、弁護士を選任していれば、これまでの経緯や収入額などをもとに、判例に照らして妥当な金額へと近づけることが期待できます。訴訟に至ってしまえば、慰謝料の請求額が不当である証拠を集めて減額を実現することはもちろん、状況によっては支払いの責任はないという結論に導く可能性も否定できません。

5、まとめ

不貞行為した側の方が、相手方配偶者から慰謝料請求を受けてしまった場合の対処法と、弁護士を依頼するメリットを紹介しました。

不貞行為の当事者となった場合、自責の念や立場の弱さを感じてしまい、相手のいいなりになって慰謝料の支払いに了承してしまうケースが多くあります。しかし、状況を整理してみなければ、本当に不貞行為といえる内容だったのか、請求された慰謝料額が妥当であるのかなどは判断できません。

もし、不貞行為した側として相手方配偶者から慰謝料請求を受けてしまったら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています