妻からのモラハラを理由に離婚したい! 実現に向けた手順と方法
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高崎市が発表した統計によると、令和2年における離婚件数は562組でした。その離婚件数の数だけ、さまざまな背景があるはずですが、なかには妻によるモラハラ、モラルハラスメントが原因で離婚に至るケースもあるでしょう。
妻から夫へのモラハラに悩み、離婚が脳裏をよぎるのは当然のことです。それでは、妻からのモラハラを理由に離婚をするにはどうしたらいいのか、高崎オフィスの弁護士が解説します。
1、近年増加中の妻によるモラハラ。その特徴と原因は?
そもそも、モラルハラスメントとは、精神的な暴力や嫌がらせのことをいいます。身体的な暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)とは異なり、言葉や態度によって行われる精神的な暴力は、外部からは見えにくいという問題があります。
相手を怒らせる自分が悪いのだと我慢して、そもそもモラハラを受けていることに気づいていないケースも多々あるようです。妻がモラハラをする背景には、どのような原因が考えられるのでしょうか。
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(1)モラハラの原因は?
家庭内におけるコミュニケーションは、自分の幼少期の親がしていた行動を無意識に繰り返してしまうことが多い傾向があると言われていることをご存じでしょうか。モラハラの加害者自身が幼少期に、威圧的な態度を取られていたり、過保護だったり、過干渉を受けていたなど、家族からモラハラを受けていたケースも少なからずあります。
もちろん、モラハラを受けていた人全員が、モラハラ加害者になるわけではもちろんありません。精神的・体力的ストレスが原因という説もありますし、その原因は素人が特定できるわけではないでしょう。加害者本人がモラハラをやめたいと考えているのであれば、専門機関を受診し、ストレスの軽減や、成育歴を振り返るなどが試みをしてみてはいかがでしょうか。 -
(2)モラハラ妻の特徴
モラハラと呼ばれる行動には、どのような特徴があるのでしょうか。
●夫の経済力を極端に制限する
夫の収入をすべて妻が管理し、夫は支出の裁量権が一切ない状態に置くケースが多いようです。たとえば夫はランチ代が1日300円しかないような小遣い制にしながら、自分の出費には一切文句を言わせない、夫が好きなものを買おうとすると激昂する……などの特徴があります。
●何でも夫のせい
自分に不都合なことがあると、自分のことは棚にあげて、すべて夫のせいにすることもモラハラの特徴的な行動です。夫であるあなた自身でなくても、夫が大切にしている人やもののせいにすることで、自分の行動の結果を夫に押し付ける傾向があるようです。
●妻の価値観が世間の「常識」
妻の価値観がたとえ常識外れであったとしても、夫の価値観を見下す傾向があります。また、夫の所有物を妻の判断で勝手に処分するケースなど、夫の価値観を認めない行動もモラハラといえるでしょう。
●夫を罵倒する
「男のくせに」「稼ぎが悪い」「ハゲ」「クズ」「ダメ人間」など、いわゆる悪口を度々言うのもモラハラ妻の特徴といえます。
●夫を孤立させる
夫についてありもしないうそを周囲に吹聴する、子どもにも夫の悪口を言い夫に近寄らせないなど、夫を孤立させる妻もいます。周囲を味方につけて、自分は正しく、夫は間違っているということを示そうとするケースは少なくありません。
2、モラハラ妻になったのはあなたのせいではない
家に帰れば、モラハラ妻がいる。何をしても難癖をつけられて罵倒される……。そう思うと、足が重くなったり胃が痛くなったりする、という方もいるでしょう。
自分が悪いと思い、努力して問題とされた行動を改善したとしてもまた怒鳴られてしまうということが繰り返されれば、帰りたくない、帰れないと思うのも無理はないでしょう。
モラハラをする人は、男女問わず、「あなたに問題があるから罵倒せざるをえないのだ」などと、自身の行動を正当化する傾向があるようです。しかし、そのようなことはありません。モラハラをやめられない人は、相手がだれであろうと、自らから離れないと思う相手を見つければモラハラを繰り返します。
あなたが我慢する必要はありません。このままでは、ひどいときにはうつ病を発症してしまうこともあります。もし、あなたに思い当たる節がある場合は、早急にその状況を脱出する必要があるでしょう。
3、モラハラ妻と離婚をするときの手順・方法について
万が一、モラハラ妻の行動がエスカレートするような場合や、あなたが嫌だと伝えているにもかかわらず、執拗にモラハラ行動を続ける場合は、あなたの身を守るための手段として、離婚も視野に入れるべきかもしれません。子どもがいるようであれば、子どもにも影響を及ぼす可能性があります。
では、離婚をするには具体的にどうすればよいのでしょうか。
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(1)証拠を集める
原則、離婚は、相手の行為が「法定離婚事由」に該当しない限り、双方の合意がなければできません。あなたが離婚を希望しても、相手が合意しないこともあります。そうなると、調停や裁判で争わなければなりません。
その場合、第三者である調停委員や裁判官に、あなたが離婚したい理由を理解してもらう必要があるでしょう。特に、モラハラをする人物は他人から見ると人当たりがよいケースが少なくなく、言葉だけでは信じてもらえない可能性があります。
そこで、妻によるモラルハラスメントの証拠を集める必要があります。
- 詳細な経緯を記したもの
- その日、妻に言われた言葉やされたことを詳細に日記に残したもの
- 妻の言動を録音・撮影したもの
- 妻からのメール文中にある侮辱的言辞
このような客観的な情報を集めておくことが非常に重要です。証拠があれば、「まさかあの人が」と信じてくれなかったあなたの周囲の人にも納得してもらえ、力になってもらえるかもしれません。
万が一、あなたがモラハラのせいでうつ病などの精神疾患になっている場合は、医師の診断書も取得しましょう。 -
(2)離婚について話し合う
当事者間で話し合える段階であれば、まずは、あなたが苦しんでいること、そして離婚を考えていることを話してみましょう。
話し合いで妻の態度が変われば、そのまま婚姻関係を続けてみるのもよいでしょう。妻が離婚を受け入れたのであれば、財産分与や子どもの親権、子どもとの面会、養育費についても話し合いを進めてください。合意できたら、必ず離婚協議書を作成して公正証書にすることをおすすめします。離婚を望む場合、協議離婚ができればもっとも早く解決できるはずです。
ただし、できるかぎり弁護士などの第三者に間に入ってもらい、あなた自身が今後困らないように対策することを強くおすすめします。モラハラの関係性の上で、妻から不当な条件を押し付けられてしまう可能性があるためです。協議書を公正証書とするのも、不当に過剰な要求をされることを防ぐ効果があるのです。 -
(3)離婚調停を行う
協議離婚ができそうにない場合は、調停離婚を試みます。調停では、男女1名ずつの調停委員と裁判官が話し合いを仲介します。夫婦はお互い顔を合わすことなく、話し合いができることが大きなメリットです。
調停で離婚や離婚条件が決まると、裁判所は調書にまとめます。これは判決と同様の効力を持ち、その内容を守らない場合、強制的に守らせることができます。調停が不調に終わってしまった場合には、裁判に移行することも検討しましょう。 -
(4)別居する
日常的なモラハラで精神的に追い詰められている状況では、仕事や生活にも支障をきたすでしょう。まずはあなた自身の安全を確保することが一番大切です。妻のモラハラが収まる気配がない場合は、可能であれば、別居をすることをおすすめいたします。
物理的な距離ができることで、お互いに冷静に関係性を見直すことができるかもしれません。ただし、ここで子どもと離れて別居すると、親権は取りにくくなります。子どもの生育環境を考えて判断してください。
また、妻の年収の方が低い場合は、別居中も妻に婚姻費用を支払う必要がある場合が多いのが原状です。別居に踏み切る場合も、事前に弁護士に相談するとよいでしょう。 -
(5)話し合いで解決しなければ裁判へ
妻が専業主婦、またはパート・アルバイトなど非正規雇用で働いているなどの場合、経済的な不安から離婚をかたくなに拒むことも考えられます。
裁判離婚とは、調停で夫婦の合意ができない場合に、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することにより、判決にて離婚を成立させる手続きです。裁判の過程において、和解によって離婚が成立することもあります。
そして、裁判所の判決による離婚を求める場合は、前述のとおり、相手方に法定の離婚原因があることが必要となります。これに該当していることが認められれば、離婚が認められるだけでなく、相手に慰謝料を請求することも可能となるでしょう。
4、まとめ
モラハラは家庭内に潜んでいるため表面化しにくいものです。また、夫が被害者となるDVやモラハラの相談窓口はあるものの、あまり知られていないのが現状です。男なのに、という感覚もあるせいか、ひとり耐えている男性は少なくありません。被害を受けている方はあなたひとりではないのです。
弁護士は、中立的な立場で夫婦間の不調和を丁寧に聞き取りいたします。妻も、どこからボタンの掛け違えが起きてしまったのか、第三者を挟むことで冷静に考えることができるかもしれません。
自分はモラハラを受けているのではないか、と感じている方は、ベリーベスト法律事務所・高崎オフィスへご相談ください。ベリーベスト法律事務所では、離婚調停や裁判に至った場合においても、不安や不利益がないように事前に打ち合わせを行い、裁判所に働きかけを行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています