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熟年離婚の進め方と、弁護士に依頼して解決するために知っておきたいこと

2018年08月20日
  • 離婚
  • 熟年離婚
  • 弁護士
熟年離婚の進め方と、弁護士に依頼して解決するために知っておきたいこと

・ 婚姻生活20年以上の夫婦が離婚する場合、どうやって離婚すればいいの? 若い人達が離婚する場合と違うの?
・ 離婚調停って? 離婚訴訟になったら弁護士費用は高いの?
・ 婚姻生活が長いから慰謝料も多く請求される?
・ 夫の退職金はどうなるの?

など、熟年離婚の疑問や進め方、財産分与、年金分割の手続等について解説いたします。

1、熟年離婚の方法について

熟年離婚をするためには、以下の手続を利用することができます。

  1. (1)協議離婚(話し合いによる離婚)

    協議離婚の場合、夫婦が離婚届に必要項目を記入して市役所に提出することにより離婚が成立します
    この離婚の形態を協議離婚といいます。
    協議離婚では、裁判所を通さずに当事者間で離婚することができます。
    協議離婚で注意しなくてはいけない点は、配偶者である妻や夫との間で、離婚をする際の条件も含めて離婚の合意があることです。つまり、財産分与や、親権、年金分割などについてお互いが納得しているという前提です。配偶者のどちらかが離婚する意思がない場合や、離婚条件に関して、納得がいっておらず争う姿勢がある場合には、協議離婚での離婚は困難を要するでしょう

  2. (2)離婚調停(調停手続での離婚)

    離婚調停は、調停委員会(裁判官1名と、法律家に限らない2名の調停委員)と一緒に離婚問題の解決に向けて家庭裁判所で行われます

    離婚調停が初めてという方のために分かりやすく、
    離婚調停の進行イメージが付くように詳細にご説明します。

    • 離婚の調停申立書の提出
    • 離婚調停を進めるために一番初めに行うことは、調停申立書の提出です。
      申立書類は、裁判所のウェブサイトもしくは、直接家庭裁判所で入手することができます。相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、離婚申立書の必要項目を記載、戸籍謄本を同封し家庭裁判所に提出します。その際、収入印紙を貼付し送付します。

    • 調停期日の日時を決定
    • 家庭裁判所に離婚調停申立書が受理されたら、次は調停期日の日程を決定します。土日祝日は裁判所がお休みですので、裁判所から平日でいくつかの候補日を求められます。
      候補日が決定されたのちに、相手方に裁判所から書類が送達され、出廷の意思確認が行われます。

    • 調停委員会による事情聴取
    • 当日、調停期日に家庭裁判所に出廷すると、申立人待合室に通されます。
      申立人待合室は、相手方と顔を合わさないように、別々の待合室となっています。裁判官1名と調停委員2名から構成された合計3名の離婚調停委員会によって、事情聴取が始まりますが、裁判官はほとんど事情聴取に参加せず、調停委員が事情聴取をすることになります。まず、はじめにあなたに対して人定(じんてい)といって、住所、氏名や年齢等の事項を質問されます。この質問はいわば「場の空気」を「暖めるため」の質問なので、運転免許証や住民票などの情報を回答してください。次に提出書類の確認があり、「結婚した経緯」や「離婚を決意した理由」、「夫婦生活の現状」、そして、離婚条件について「財産分与や慰謝料」など具体的な質問をされます。その後、相手方にも同じような質問を確認して、離婚の承諾を得るために条件を詰めていきます。

    • 調停の成立、不成立
    • 調停委員会の事情聴取終了後、お互い条件に納得して離婚成立となると、調停調書が作成され10日以内に離婚届と一緒に市役所に提出する必要があります。調停員会が離婚を成立させるのは困難であると判断した場合は、調停離婚の不成立(不調)となり終了となります。

      離婚調停が成立しない場合には、家庭裁判所が職権で行う調停に代わる審判が予定されていますが、ほとんど利用されていません。

  3. (3)離婚訴訟(訴訟手続での離婚)

    協議離婚や離婚調停で離婚できない場合は、次に離婚訴訟となります
    裁判上の離婚は、離婚原因が法定されていますので、以下の法定離婚事由を参考にしてください(民法第770条参照)。

    • 配偶者に不貞行為な行為があったとき
    • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
    • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
    • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき


    「その他婚姻を継続し難い重大な事由」は、その他の法定離婚事由には該当しないものの、これまでの夫婦生活の状況により、婚姻関係が破綻したと評価できる場合に、該当します。
    たとえば暴力、借金、ギャンブル、異常性癖、薬物依存などの幅広いレンジがあります。

    「性格の不一致」という言葉がありますが、性格の不一致があるから訴訟においても当然離婚ができるわけではなく、あくまで「その他婚姻を継続し難い重大な事由」の考慮要素にすぎません。

2、熟年離婚の場合の訴訟の進め方について

熟年離婚の裁判はどのように進行していくのか確認してみます。

  • 熟年離婚の訴状提出
  • 離婚訴訟を提訴するため、ご自身または相手方住所地等管轄の家庭裁判所に訴状を提出します。訴訟提起の場合、ご自身の住所地等を管轄する家庭裁判所に訴訟提起をすることもできますが、相手方から管轄移送の申し立てや裁判所の職権で、移送決定が出ると、相手方の住所地を管轄する裁判所で訴訟をすることになります。
    訴状の内容には離婚に求める条件(財産分与、慰謝料、親権)など記載し離婚裁判に至った経緯(離婚調停が不調となったことなど)も記載します。

  • 離婚裁判の日時を決定
  • 家庭裁判所から送達が確認できると、第1回口頭弁論の日程の連絡が入り期日が決定されます。裁判所の都合にもよりますが、訴訟提起から1~2ヶ月後になることが多いです。離婚調停の際と同じく、候補日は平日で調整されます。その後、訴状の内容に対して、相手方から答弁書及び、相手方の理由を裏付ける証拠の提出がなされます。

  • 第1回口頭弁論
  • 第1回口頭弁論期日は、家庭裁判所の法廷で行われます。また、離婚調停とは違い、離婚訴訟は一般公開されますので、傍聴席の人たちに聞かれることになります。
    離婚訴訟は法廷で行われるためプライバシーが保てないというデメリットもありますが、公開するということで不正を防止できるというメリットもあります。また、裁判官の判断で個人の重大な秘密に関することは公開されないこともあります。

    「なにが離婚の争点になっているか?」から始まり、争点をもとにお互い事実を証明する証拠の確認を裁判官が納得するまで行われます。その後、裁判官から今後の手続の進め方について説明があります。たいていの場合、次回からは弁論準備手続でいいかという相談となることが多く、弁論準備手続とは、法廷のような荘厳な場所ではなく、ラウンドテーブルで行われるフラットな手続のことです。その場で主張書面の陳述や証拠の提出を行います。特段の問題がない限りは了解して手続を進めるべきです。これが終わると、次回期日の調整となり、第1回口頭弁論はこれで終了となり退廷となります。

  • 証人尋問と証拠調べ
  • 離婚裁判の争点が整理されて、提出した証拠の取り調べや最終的には証人尋問、当事者尋問等が行われます。離婚に至った経緯をもとに代理人弁護士や裁判官から質問を受けます。

    証人尋問や当事者尋問が終わると裁判官から和解の勧告があり、和解の協議になることが多いです。お互いに合意できれば離婚訴訟は終了となります。まれに、事件がこじれるケースでお子さまを証人として出廷させるケースがありますが、
    相手方とお子さまの関係は、配偶者と離婚により婚姻が終了したとしても、関係は継続するので、お子さまを証人として出廷を求める場合には慎重にご判断した方がよいです。

  • 離婚訴訟の判決
  • 裁判官からの和解案をのまない場合には、離婚訴訟の判決期日が確定します。判決期日には出廷する必要はありません。判決書は、後日あなたの住所に送達されます。

  • 第一審判決に対する控訴
  • 第一審での判決が不服で控訴する場合には、判決が送達されてから2週間以内にその家庭裁判所に対し高等裁判所宛の控除状を提出します。

3、もし、あなたが不倫やDVなどをしていた場合

離婚を請求する側のあなたが、もし不倫やDVなどをしていた(有責配偶者)場合はどうなるでしょうか。
有責配偶者とは、不倫、DV等で自らが離婚原因を創出した者のことをいい、自らが離婚原因を創出したにもかかわらず、裁判上の離婚を申し出るのは信義誠実の原則に反するものであるとして、離婚請求は基本的には認められないとするものです。
ただし、以下の場合には離婚請求が認められる可能性があります。
たとえば、

  • 10年近く別居生活を続けており、実質的に夫婦関係が破たんしている
  • =これ以上婚姻関係を継続させるメリットがないと判断される場合
    ※なお、未成熟子が存在しており、離婚後、相手が過酷な状況に置かれる場合は、離婚請求は難しいと考えられます。


また、いわゆる家庭内別居の場合には、別居しているといえないとして認められない場合が多いです。

とはいえ、熟年離婚で別居期間が10年前後あるケースでは、別居のきっかけがあなたの不倫やDVであったとしても、あなたが有責配偶者であるという理由だけで離婚請求が認められないということにはなりません。これまで述べてきたとおり、相手方の同意があれば離婚ができますし、調停や訴訟における和解の中で、解決をすることも十分可能です。

4、熟年離婚の際に気をつけておきたい財産の扱いについて

熟年離婚する際に、双方の離婚の合意は得られたとしても、財産の扱いで揉めてしまい、なかなか先に進まないケースは少なくありません。
熟年離婚の際にトラブルとなりやすい、住宅や退職金、生命保険等の「財産分与」や、婚姻費用、慰謝料や年金分割について解説します

  1. (1)財産分与

    財産分与(請求)とは、婚姻した当事者の一方が他方に対し婚姻期間中に形成した財産の一部又は全部を離婚に際し請求することをいいます。妻(夫)があなたに対し婚姻期間中に居住していた居宅、婚姻期間中に貯蓄していた預貯金、取得した株式・債権等の財産の全部または一部の引渡しを求めることが典型的な例です。

    財産分与の対象は、特有財産(婚姻前からあなた又は妻が所有していた財産)を除き、すべての財産が対象となります
    財産分与の趣旨は、主として夫婦間で形成された財産を離婚に際し清算することにありますので、離婚時(実質的には婚姻関係の破たん時≒別居時)に夫婦間に存在した財産分割するのが原則です。

    ① 居宅
    • 住宅ローンがない居宅の場合
      この場合には、夫または妻のどちらか居住する方が取得し、居住しない方がする方から居宅の価値に応じた分与金を取得する方法で分与します。
    • 住宅ローンの残額がある居宅の場合
    • まず、住宅ローンについては債権者である銀行の同意がない限り分割はできません。例えば、妻に対し財産分与した場合、あなたが住宅ローンを支払い続けなければなりません。これを裏からいうと、仮にあなたが住宅ローンの支払いを行わなかった場合には、銀行は居宅の抵当権を実行し、妻を追い出すことができます。このような危険性があるため弁護士が介在するような離婚事案では、単に居宅をあなたから妻に分与するという分割案を最初から提示することはまずありません。むしろ、妻側の立場から、住宅ローンの残額に充当できる金銭の交付要求も併せて行い、住宅ローンを弁済して取得することとするか、又はその居宅に居住することをあきらめ居宅を売却して住宅ローンを清算する方向で解決する例が多いです(特に無職の妻とで共有しているケースではこの処理が顕著です)。

    ② 退職金
    あなたが、定年退職により退職金を取得していた場合には、退職金は財産分与の対象になります。では、将来の退職金についてはどうでしょうか。
    将来の退職金は、すでに取得した退職金とは異なり、離婚の時に存在していた財産とは言えませんが、支給の蓋然性が高いものは財産分与の対象とされています。では、具体的な参入方法はどうするのでしょうか。主流であるのは、離婚時に退職したと仮定して、算定した退職金のうち婚姻期間相当分を財産分与の対象とすることが多いです

    ③ 財産分与の期間
    財産分与は、離婚のときから2年間に限り請求することができますので、注意しておく必要があります。

  2. (2)婚姻費用

    婚姻費用とは、夫婦が互いに分担すべき通常の社会生活を維持するために必要な費用のことをいい、平たくいうと生活費のことです。夫婦には相互に生活保持義務があり、自己と同じ生活水準を他者に維持させる義務があります。婚姻費用の負担もその生活保持義務に由来するものです。離婚において問題となるのは、あなたと妻が別居するようになり、あなたが妻に生活費を渡さなくなったような場合です。具体的には婚姻期間でその生活費を渡さなくなったときから離婚成立時までの期間の婚姻費用をあなたが妻に支払う義務が生じます
    ではいくら支払うことになるでしょうか。この点については、明確性・公平性の観点から、一定の幅の範囲ですが定額化されております。
    例えば、あなたの年収が700万円(給与取得者の場合)で妻が専業主婦(無職)かつお子さまがいない場合には、月10~12万円程度です。また、既に年金を取得している場合には、単純に計算することはできません。婚姻費用の額については弁護士にお尋ねいただければと思います。

  3. (3)慰謝料

    あなたが離婚において慰謝料を払うようなケースは、あなたに離婚原因があるようなケースです。例えば、浮気、DV、などです。ここで財産分与と慰謝料の関係が問題になります。
    判例は、財産分与において慰謝料を求めることもできるとしながらも、財産分与がなされている場合であったとしても、慰謝料請求を別途求めることができるとしています。そのため、基本的には財産分与をした後でも、慰謝料請求できると考えて良いでしょう。

  4. (4)年金分割

    年金分割とは、厚生年金及び共済年金部分について、離婚において夫婦間で支給される年金額を分割することをいいます。
    まず、分割されるのは、厚生年金と共済年金部分のみであり、国民年金部分は分割されません。次に分割の対象は支給額そのものであり、支給期間や払込期間を分割することはできません。さらに、分割の割合は、主として0.5=半分です。そして、年金分割の合意が調停で定まると、これを単独で年金事務所に持っていき手続を行えば完了です。

  5. (5)財産の支払いを怠った場合

    ① 自発的な履行を促す制度(履行勧告制度等)
    あなたが調停で財産分与義務を履行しなかった場合に妻はどのような手段をとることができるでしょうか。この点については、妻は、家庭裁判所に履行勧告を求めるように申し立てを行うことができます。ただ、単に家庭裁判所があなたに履行を「勧告」するだけですので、実効力は乏しいかもしれません。そこで、妻は家庭裁判所に対し履行命令を出すように申し立てることができます。履行命令が出ているにもかかわらず、正当な理由なく履行しなかった場合には、家庭裁判所から10万円以下の過料に処せられます。

    ② 強制執行
    次に、判決により財産分与等を義務付けられたにもかかわらず、これを履行しなかった場合には、強制執行により例えば、給料の差し押さえや所有不動産の差し押さえがなされます。

5、離婚交渉を弁護士に依頼するメリット

  1. (1)将来のトラブルを回避できる

    弁護士を介さないような交渉に比べて、離婚条件について法律にしたがい、かつ将来のトラブルを回避できるような条件で交渉することが可能となります

  2. (2)有利に交渉を進められる

    財産分与等の交渉において法的理論に基づき、有利に交渉を進めることができるほか、離婚調停においては、調停手続を代理してもらい、調停手続の負担を軽減することができます。

  3. (3)難しい書面作成や手続を任せられる

    訴訟は弁護士の専門分与ですので、書面を作成や、離婚訴訟においては尋問等の訴訟手続の進め方について、より円滑に進めることができます

6、まとめ

昨今、長年連れ添った夫婦の熟年離婚は増加傾向にあります。
離婚後、幸せな生活を送るためには、財産分与や年金分割などご自身の財産をしっかり確保することが重要です。
離婚して後悔する前に、法律の専門家である弁護士に一度相談していただくことをおすすめいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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