専業主婦だけど親権は獲得したい……親権を得るためのポイントとは?
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高崎市では平成30年において、婚姻届出件数1847件に対して離婚件数が569件でした。もちろん人口の変動がありますので単純に比較することはできませんが、離婚することに躊躇しなくなっている人も増えてきています。
もっとも、子どもがいる夫婦の場合、離婚する際に、子どもはどちらかが引き取るか決めることになります。子どもを手元で育てたいと思っていても、親権を取れるかどうか不安になることも多いでしょう。さらに、専業主婦の場合、定期的な収入を得ていないため、子どもの親権を得ることはできるのかと考えてしまうかもしれません。今回は、専業主婦が親権を取るためのポイントを高崎オフィスの弁護士がお伝えします。
1、そもそも親権とは
親権は、未成年者の子どもについて監護・養育する権利や義務をいいます。監護・養育には、子どもの財産を管理したり、子どもの代理人として法律行為をしたりすることも含まれます。
また、親権は、未熟な子どもを保護することや、心身ともに成長を助けなければならないという義務があります。
親権は、子どもがいる夫婦の場合それぞれ決める必要があります。親権者が誰かを定めない限り、離婚届を受理してもらうことはできません。
2、専業主婦でも親権は獲得できる?
親権者は、子どもの財産の管理だけでなく、実際に養育し育てていかなければならないため、ある程度の経済力が求められます。そのため、専業主婦でも親権を獲得できるのかどうか不安になるかもしれません。
親権者は、未熟な子どもを保護すること、精神的・肉体的成長を図る義務があります。そのため、協議離婚などの話し合いの場合は、当事者双方が納得した形で親権者を選択することができます。
他方、協議がこじれた場合は、調停や裁判を利用して親権者が決められていきます。
調停や裁判では、子の福祉、すなわち子どもの健やかな精神的・身体的成長のためにどちらが親権者にふさわしいかを第一に判断するため、経済力のみを理由に親権者が決まることはありません。
3、親権者となるための8つのポイント
調停や審判、裁判などの手続きにおいて親権者を決める場合、以下のポイントを総合的に判断しどちらが親権者にふさわしいか判断されます。
- 住宅、学校など生活環境
- 子どもに対する愛情
- 収入など経済面はどうか
- 親の年齢、心身の健康状態など監護能力
- 子どもの年齢、性別、発育状況
- 環境の変化と子どもの生活に与える可能性
- 兄弟姉妹との関係
- 子ども本人の意思
たとえば、すでに夫婦が別居しており、子どもと母が母の実家で一緒に住んで近所の学校にも通っているなどという場合、住宅や学校の生活環境がすでにできあがっており、父親と一緒に暮らすには学校を変える必要がある、などという場合には母親を親権者とする判断がなされる可能性が高くなります。
それでは、専業主婦が裁判等で親権を取るためのポイントを具体的にみていきましょう。
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(1)住宅、学校など生活環境
特段の理由がない限り、離婚前後で子どもの住む家や通う学校などは変わらないことが望ましいとされます。
裁判所では現在の監護状況が重視されるため、専業主婦の場合、子どもとともに別居していると有利に働く可能性があるでしょう。子どもの面倒をみているのが自分だと客観的に主張できる証拠になるからです。 -
(2)子どもに対する愛情
子どもに対する愛情は、子どもと過ごした時間の長さや、子どものために何をしてきたかということなどが客観的な事情を踏まえて判断されます。
専業主婦であればいつも一緒にいることが多いため、有利と言えるでしょう。特に乳幼児は母親との結びつきが強いとみられています。 -
(3)収入など経済面はどうか
親権の決定において、収入面はそれほど重視されないといわれています。収入の多い方からの養育費などでまかなわれるためです。
ただし、専業主婦で収入がない場合、養育費だけで一定水準以上の生活を子どもが送ることができるかどうかは判断において考慮されます。そのため、離婚後にも定期的な収入が得られる見通しがある方がより有利になると言えるでしょう。現在専業主婦の場合は、離婚に向けて働くことも検討しましょう。 -
(4)親の年齢、心身の健康状態など監護能力
子どもを育てるには、心身が健康である必要があります。健康状態に問題がある場合は親権を取るのが難しいといわれています。身体は健康でも精神的に健康ではない場合も、親権を取るには不利な要素となります。
家族からのサポートが得られるかなども重要な要素となるでしょう。 -
(5)子どもの年齢、性別、発育状況
子どもの年齢が幼い場合は、母親が親権を持つのが適当とされています。そのため、まだ子どもが幼い場合は特に、専業主婦でも親権が認められやすくなっています。
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(6)環境の変化と子どもの生活に与える可能性
現在の環境が離婚に伴いどう変化するのか、その変化が子どもの生活にどのように影響を与えるのか判断します。基本的に、離婚前と同じ環境にすべきとの考えがあります。
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(7)兄弟姉妹との関係
特段の理由がない限り、兄弟姉妹は別れないのが望ましいとされています。
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(8)子ども本人の意思
子ども本人の意思は尊重されます。特に15歳以上の子どもの場合は、裁判所で子どもの意思を聞く機会が設けられます。
4、親権が認められない可能性の高いケースは?
一般的に、母親の方が親権を取るには有利といわれています。日本において母親の方が子どもの面倒をみる時間が長いことが多いためです。
他方、母親であっても日常的に子どもの暴力をふるっていた、食事を満足に与えていないなどの虐待の可能性や、お酒やギャンブルに依存して養育していないなどという場合、親権が認められない傾向があります。
5、親権や養育費などの相談先は?
親権や養育費について相談したいというときは、弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士に依頼すれば、離婚の話し合いにおいて交渉を有利に進めてもらうことも可能ですし、調停や裁判になった際には、代理人として手続きや交渉などを進めてもらうことも可能です。親権を得るためのアドバイスを受けることもできるため、安心して手続きに臨むことができます。
親権や養育費については、なるべく有利に進めたいと考えることでしょう。しかし、個人で行うと難しいことも多く、相手の勢いに流されてしまう可能性もあります。その後の自分と子どもの人生のためにも、譲歩せずに毅然とした交渉や対応をすることが必要です。
第三者である弁護士に依頼することで、冷静な意見や判断を聞くこともできます。
6、まとめ
専業主婦でも親権を取ることは決して難しくはありません。調停や裁判において親権を獲得するには、第一に子どもの福祉が優先されます。経済面だけでなく、子どもの生活環境や子どもへの愛情など、複数の要素を総合的に判断されます。
親権などについてお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています