個人間の借金取り立てによるトラブルはどのような対応ができるのか
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日銀前橋支店は、群馬県金融経済概況を回復しているとしながらも、コロナウイルスの影響が出始めているとしています。高崎市にお住まいの方の中にも、影響を受けて困っている方がいるかもしれません。
このように、何らかの原因で急にお金が必要となり、消費者金融などで借りるのも不安で、つい知り合いからお金を借りた経験がある方は実は多いのではないでしょうか。最初は給料が入れば返せるだろうと思っていたものの、返せなくなってしまった場合、それまで友人として友好な関係を築いていた相手の態度が変わってしまうことは少なくありません。
督促はどんどん厳しくなり、そのうち家にまで出向いてくるまでになると、どうすればいいのか、お金を返せないという負い目もあって困ってしまうのではないでしょうか。そこで今回は、このような個人間の借金トラブルに対し、どのように対処すればいいのかについて、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。
1、個人間での借金に適用される法律
個人同士でお金の貸し借りをしたのちトラブルに発展するケースは意外と多いものです。知り合い同士であれば、お互い正式な契約書などは作らず簡単な借用書で済ませることもあるでしょうし、時には口約束で貸し借りをすることもあるかもしれません。このため、あまり重要な行為だと考えていない方も多いですが、金銭の貸し借りは立派な法律行為なのです。
そこで、個人間の金銭の貸し借りに、どのような法律が適用されるのかをここでは紹介します。
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(1)金銭の貸し借りに関係する法律
私たちが銀行や消費者金融などからお金を借りる場合には、以下の3つの法律が影響します。
- 貸金業法
- 利息制限法
- 出資法
これらのうち、「貸金業法」は、金銭の貸し付けを仕事として行っている者に適用される法律です。個人間の借金においては、上記の法律のうち、残る利息制限法と出資法が適用されます。次に詳しくみていきましょう。
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(2)利息制限法
貸主による暴利や搾取から消費者を守るために制定されている法律で、利息や、遅延損害金の利率を制限することを目的とした法律です。事業として貸し付けを行っている業者に加えて個人間の借金にも適用されます。
貸し付ける額に応じて上限利率が定められていますので、以下に上限利率をご紹介します。- 10万円未満→20%
- 10万円以上100万円未満→18%
- 100万円以上→15%
利息制限法には罰則規定はありません。しかし、債務者が債務整理をした場合や、裁判を起こした場合には、上限を超えた利息分は過払い金請求の対象となり、返還しなくてはいけなくなる場合があります。
また、貸主が営業的に貸し付けを行っていないような、個人間の金銭の貸し借りの場合、借金の支払いが遅延した際に請求できる遅延損害金の利率に関しても、借入金に応じて以下利率が上限とされています。
- 10万円未満→29.2%
- 10万円以上100万円未満→26.28%
- 100万円以上→21.9%
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(3)出資法
個人間や事業など、あらゆるお金の貸し借りに影響するのが出資法です。金利の上限は109.5%と、非常に高いことが特徴です。個人同士でお金の貸し借りについて契約を結ぶ場合には、利息制限法と出資法のどちらの利率を適用するかを双方同意の上で決定します。
業としてではない個人間の貸し借りの場合、出資法に違反して上限以上の利息を請求すると以下の罰則のいずれか、もしくは両方が適用されます。- 5年以下の懲役刑
- 1000万円以下の罰金刑
このように、個人間の借金にはふたつの法律が関係してくることを知っておきましょう。
2、債権者からの債務者への取り立て
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(1)禁止事項はある?
貸金業者が行う取り立て請求は資金業法に従う必要があります。
具体的には、以下のような規制・禁止事項が第21条に設けられています。
- 取り立て時間の規制(早朝、深夜など)
- 取り立ての方法(威圧的な態度で行う)
- 弁護士などによる受任通知後の債務者への取り立て行為
- 債務者以外の家族などへの取り立て行為
一方、個人間の取り立てに関しては貸金業法の適用がありません。
ただし、取り立ての様態によっては犯罪に該当するケースがあります。たとえば、暴行や脅迫にあたる行為をすると恐喝罪などの罪に問われることがあります。無理やり会うように強要することは強要罪にあたることも考えられます。
そこで、取り立てがあまりにひどい場合は警察に相談することも対処法になります。しかし、直接的被害がないと警察は動いてくれない場合もありますので、弁護士に間に入ってもらうことが賢明でしょう。 -
(2)個人間で適法とされる取り立て
個人間では、以下のような方法で借金の返済を請求することは、適法とされています。取り立て例をご紹介しますので、ご確認ください。
- 電話もしくは面会によるもの
- 内容証明郵便を利用して文書で支払いを催促する
- 連帯保証人に返済を求めること
- 裁判や強制執行
いずれも適法ですので、弁護士などを介して対応することが早期解決につながるでしょう。
3、個人間の借金トラブルを弁護士に相談するメリット
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(1)話し合いがスムーズに進みやすい
個人間の借金トラブルは、取り立てに関しても大きな法規制がないため、激しくなってしまうことがあります。暴力行為などがない限り、警察が民事不介入であることも要因のひとつでしょう。
そこで、当事者同士で話し合いをする際には、間に弁護士をいれることを検討してみましょう。債権者も相手が弁護士のような法律の専門家であれば、無理な返済要望をつきつけてくることや、強硬手段を利用することは少ないと考えられます。 -
(2)円満な解決方法を提案してくれる
個人間の借金の場合は借用書が存在しないケースも多いものです。しかし、口約束でも契約は有効です。話がこじれてしまうと、裁判に発展する可能性もあります。
早期解決を図るためにも、弁護士にまず状況を相談し、取るべき手段や、今後どのように借金を返していくのかについて相談することが、解決に向かうために有効な手段になるでしょう。
弁護士ならば、払い過ぎた利息などを減額し、月々の返済額を押さえて円満に解決に導くなどの方法も考えてくれます。 -
(3)債権整理も任せられる
個人間の借金だけでなく、消費者金融などからも借り入れしていてお困りの場合には、債務整理手続きも有効な手段です。債務整理とは、借金の総額を圧縮して返済を楽にしたり、裁判上の手続きを利用して借金の総額を減額したりゼロにしたりする手続きです。具体的には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」などの方法があります。
これらの手続きは個人でも行えますが、債権者とトラブルになることや、手続きが煩雑で個人で行うことが困難である場合が多いです。
手続きのご負担を軽減し、早期解決に導くためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
4、まとめ
返すつもりで友人や知人から借金をしたものの、いつしか返済が難しくなることがあります。返済を遅らせることが増えてくると、相手も踏み倒す気ではないのかと疑心暗鬼になり、関係も悪化しがちです。個人間の借金の取り立てに関しては大きな規制がないことから、家に押し掛けるなどおのずと激しい取り立て行為にいたってしまう場合もあります。
借金を返済したいけれど、返済のめどが立たないとお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスに、ぜひお気軽にご連絡ください。弁護士が、適切なアドバイスのもとに借金返済計画を立て、スムーズな返済につながるように尽力します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています