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夜勤をしたときの割増賃金はどのように計算する?

2023年02月09日
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夜勤をしたときの割増賃金はどのように計算する?

厚生労働省の「毎月勤労統計調査地方調査 令和3年平均分結果概要」によると、事業規模5人以上の群馬県内の事業所における所定外労働時間数は10.5時間でした。全国平均が9.7時間でしたので、全国平均よりも残業時間が長いという結果になっています。

深夜残業や夜勤をした場合には、通常の賃金に加えて一定の割増率によって増額された割増賃金を支払ってもらうことができます。しかし、適正な残業代が支払われなかったり、サービス残業を強いられたりしているというケースがあるようです。

本コラムでは、夜勤をした場合の割増賃金の基本ルールと具体的な計算方法について、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。割増賃金の請求は、労働者の正当な権利です。したがって、適切な割増賃金をもらえていない場合には、しっかりと請求していきましょう。

1、割増賃金の基本ルール

割増賃金はどのような場合に発生するのか、割増賃金についての基本ルールを説明します。

  1. (1)割増賃金とは

    割増賃金とは、時間外労働や深夜労働、休日労働をした場合に、通常の賃金に加えて支払わなければならない賃金のことをいいます。一定の割増率によって増額された賃金であることから「割増賃金」と呼ばれています。

    時間外労働、深夜労働、休日労働は、いずれも通常の勤務時間とは異なる特別な労働といえます。このような労働をさせられた労働者としては、心身ともに疲労が蓄積し健康被害を生じるおそれや、長時間労働による過労死のリスクが高まります。そこで、使用者(会社や企業、事業者、経営者などあなたを雇用している方)に対して割増賃金という経済的負担を課すことによって、時間外労働を抑制することが目的の制度です。

  2. (2)割増賃金が発生する場合とは?

    割増賃金が発生するのは、以下のケースです。

    ① 時間外労働
    • 法定労働時間を超えた場合
      労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間として定めており、法定労働時間を超える労働は原則として禁止されています。法定労働時間を超えて労働者を働かせるためには、前提として、使用者と労働組合(労働者代表)との間において、36協定を締結することが必要となります。

      36協定の締結・届出が行われることによって、初めて会社側が労働者に対して時間外労働を命じることができます。時間外労働を命じられた従業員が、実際に時間外労働をした場合は、会社側は25%以上の割増率による割増賃金が支払う必要があります。

      したがって、あなたが法定労働時間外に労働をしているにもかかわらず、これまで割増賃金を受け取っていない場合は、会社側に請求することが可能であるケースがほとんどでしょう。

      なお、所定労働時間を超えて法定労働時間の範囲内の残業は、「法内残業」と呼ばれています。当然、通常の賃金の支払いは必須ですが、割増賃金の支払いは課せられていないことに注意が必要です。
    • 時間外労働が1か月60時間を超えた場合
      時間外労働が1か月60時間を超えた場合には、超過した時間に対して、50%以上の割増率が適用されます。これは、長時間の残業を抑制する見地から、特別に割増率が加算されているものです。

      なお、中小企業については50%以上の割増率の適用が猶予されていますが、令和5年4月1日以降からは中小企業に対しても50%以上の割増率が適用されます。

    ② 休日労働
    休日労働とは、労働基準法が定める法定休日に労働をすることをいいます。労働基準法では、週1日または4週4日の休日を法定休日と定めており、法定休日に労働者を働かせた場合には、35%以上の割増率による割増賃金が支払われます

    ③ 深夜労働
    深夜労働をした場合にも割増賃金の支払いが必要になります。この、いわゆる夜勤についての割増賃金については、詳しく後述します。

2、夜勤の割増賃金はどのようなときもらえる?

法律でいうところの深夜労働の定義や、深夜残業の基本について説明します。

  1. (1)深夜労働とは

    労働基準法では、午後10時から午前5時までの時間帯を深夜時間帯と指定しており、深夜時間帯に働くことを深夜労働(深夜残業)といいます。そのうえで、夜勤などにより深夜に働いた場合には、25%以上の割増率による割増賃金を支払うよう規定されているのです。

    なお、夜勤と時間外労働が重なる場合には、深夜労働の割増賃金と時間外労働の割増賃金を合算して支払う必要がありますので、50%以上の割増率が適用されます。また、法定休日に夜勤が発生した場合には、それぞれの割増賃金を合算して支払う必要があります。したがって、休日労働と深夜労働が重なり合う時間については、60%以上の割増率が適用されます。

  2. (2)みなし残業における深夜割増賃金の扱い

    みなし残業とは、実際の労働時間にかかわらず、毎月一定の残業代を支払う制度のことをいいます。毎月の残業代が固定されていることから「固定残業制」とも呼ばれています。

    みなし残業制度を利用するためには、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分を判別できることが必要となります。みなし残業は、主に時間外労働を対象にして利用される制度ですが、上記のように通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分とが明確に区別できるようであれば深夜労働についても利用することができます。

    この場合には、みなし残業代が実際の深夜割増賃金を上回って支払われていれば問題ありませんが、実際の深夜割増賃金がみなし残業代で支払われているものを超えた場合には、超えた部分については別途深夜割増賃金を支払わなければなりません

    もし、会社に「みなし残業代が支払われているから未払いとなっている賃金はない」と反論されたとしても、超過部分を請求できるケースがあります。あきらめてしまう前に、まずは実際のタイムカードなどに基づき計算してみましょう。

3、夜勤や深夜残業をしたときの割増賃金の計算例

では、深夜にかかる残業や夜勤をしたときにはどのような方法で割増賃金を計算するのでしょうか。以下では、深夜残業における割増賃金の計算方法と計算例について説明します。

  1. (1)割増賃金の計算方法

    割増賃金の計算は、以下の計算式によって計算することができます。

    • 割増賃金=1時間あたりの基礎賃金×割増率×残業時間


    そのため、まずは、「1時間あたりの基礎賃金」を明らかにする必要があります。1時間あたりの基礎賃金は、時給制の場合には時給額がそのまま基礎賃金になりますが、月給制の場合には、以下の計算式によって計算をします。

    • 1時間あたりの基礎賃金=月給÷1か月平均所定労働時間
    • 1か月平均所定労働時間=(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12か月


    なお、通常、この計算における「月給」は、以下の手当を除外しなければなりません。

    • 家族手当
    • 通勤手当
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  2. (2)割増賃金の計算例

    では、次のケースを例にして実際の割増賃金を計算していきましょう。
    なお、以下の例の通勤手当は、自宅から勤務先までの通勤距離に応じて支払われていることを前提とします。

    (モデルケース)
    基本給20万円、役職手当3万円、通勤手当2万円、調整手当2万円の合計27万円が給料として支払われている労働者がいました。この会社の月平均労働時間は170時間であり、ある月の時間外労働が30時間、深夜労働にあたる夜勤が20時間、休日労働が8時間あったとするとその月の割増賃金はいくらになるでしょうか。

    (計算例)
    1時間あたりの基礎賃金の計算基礎となる月給からは、通勤手当は除外されますので、上記のケースでは、1時間あたりの基礎賃金の計算基礎となる月給は、25万円となります。
    1時間あたりの基礎賃金=25万円÷170時間≒1471円

    この1時間あたりの基礎賃金に基づき、割増賃金を計算すると以下の金額になります。

    • 時間外労働:30時間×1471円×1.25≒5万5163円
    • 深夜労働:20時間×1471円×1.25≒3万6775円
    • 休日労働:8時間×1471×1.35≒1万5887円


    したがって、合計でおよそ107825円の割増賃金が支払われている必要があるということになります。ただし、通勤手当については距離などに応じて支給されていないケースがあります。その場合は労働に対する対価とみなされ、基礎賃金となる場合がある点に注意が必要です。個別の事情に基づいてできるだけ正しく計算したいとお考えであれば、弁護士に相談してください

4、未払いの夜勤割増賃金を請求するとき弁護士ができること

会社から割増賃金が支払われていないことがわかった場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。労働基準監督署でも相談はできますが、あなたの代理人として会社に対して未払いの割増賃金を請求してくれるわけではないためです。

あなたの依頼を受けた弁護士は、以下のような対応を行えます。

  1. (1)割増賃金の正確な計算をサポート

    未払いの割増賃金があった場合には、会社に対して請求することができますが、その前提として、未払いの割増賃金の金額を計算しなければなりません

    残業の種類によって適用される適用される割増率が異なるなど、割増賃金の計算は非常に複雑です。したがって、正確に金額を計算するためには弁護士のサポートを求めたほうがよいでしょう。

  2. (2)あなたの代理人として会社との交渉ができる

    会社に対して未払いの割増賃金の請求をする場合には、まずは会社との話し合いによって解決を図ります。しかし、労働者個人が会社に対して未払いの割増賃金を請求したとしても、真剣に対応してもらえないというケースが多々あります。

    このような場合には、弁護士に依頼をすれば労働者の代理人として弁護士が会社と交渉を行います。訴訟を視野に入れて請求をするため、会社としても対応を余儀なくされるでしょう。会社との交渉はすべて弁護士が行いますので、労働者本人の負担は大幅に軽減されるといえます。

  3. (3)労働審判や訴訟の対応も可能

    会社との話し合いで解決することができない場合には、労働審判や訴訟などの対応が必要になってきます。労働審判や訴訟の経験がある方はほとんどいないと思いますので、個人の力だけではこれらの手続きを進めていくことは難しいものです。

    弁護士に依頼すればこれらの手続きもすべてサポートできるため、ひとりで対応する必要はありません。夜勤の割増賃金などを適切に支払ってもらえていない場合は、まずは弁護士に相談してみることを強くおすすめします。

5、まとめ

夜勤などで深夜労働を命じられた場合には、通常の賃金のほかに割増賃金を請求することができます。何度も夜勤をしているにもかかわらず、給料が増えないという場合には適正な割増賃金や夜勤手当が支払われていない可能性があるでしょう。

実際に計算をしてみることで、会社に対して割増賃金を請求することができる可能性があります。まずは、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスまでお気軽にご相談ください。未払い分の試算から交渉、訴訟に至るまで対応が可能です。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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