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入札談合・官製談合は逮捕される? 談合の意味や問われる罪・刑罰とは

2021年04月22日
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入札談合・官製談合は逮捕される? 談合の意味や問われる罪・刑罰とは

令和元年11月には、高崎市が発注した備品購入の指名競争入札において官製談合が行われ、高崎市職員の男と会社役員の男2名の合計3名が逮捕されました。開設されたばかりの劇場を舞台とした不正事案であり、高崎市民にとって大きな衝撃となった事件です。
公務員の不正は特に世間の注目を集める事件ですが、中でも入札における「官製談合」には厳しい目が向けられます。

事前に入札に関する情報を漏らす行為は犯罪です。厳しい刑罰が科せられるだけでなく、失職してしまう危険性も高いため、厳に慎むべきだと心得ておくべきでしょう。このコラムでは「談合」をした場合にどのような罪に問われるのか、逮捕される可能性はあるのかなどの疑問について、高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、談合とはどのような行為なのか?

たとえば、「談合」という用語を辞書で調べると、次のような意味があります。

  • 話し合いをすること
  • 競争入札の参加者同士が落札者と前もって価格を決める不公正な話し合い


談合といえば「違法行為になる」というイメージがつきものなので、主に後者の意味で使われることが多いでしょう。

たとえば、ある公共工事について、A・B・Cの3社が入札に参加したと仮定します。
公共工事の入札では最低価格を提示した業者が契約を獲得することになるので、入札に参加する各社は利益を獲得できる範囲で許容できる最低価格を提示するのが原則です。
ところが、事前にA・B・Cの3社が話し合いをして「今回はC社に」と取り決めてしまうと、次のような事態が起きます。

  • A・BはC社が契約を獲得できるように、わざと高い価格で入札する
  • C社はA・Bが高い価格を提示することを知っているので価格競争を回避できる
  • 結果として、3社が公正に競争した場合よりも落札額が高くなる


このように談合は、公正な入札による競争を阻害する行為です。
結果として落札額が高くなってしまい税金の無駄遣いにもつながるので、談合は法律によって厳しく禁止されています。

2、談合を罰する法律と罪名・罰則

談合は入札の公正を阻害する違法行為であり、法律で厳しい処罰が規定されています。ここでは、談合を罰する法律と罪名・罰則について確認していきましょう。

  1. (1)刑法の「談合罪」

    刑法第96条の6第2項には、公正な価格を害し、または不正な利益を得る目的で談合した者を「談合罪」として罰する旨が規定されています。

    ここでいう「公正な価格」とは、競売または入札において談合がなかったと仮定した場合に、自由な入札があれば形成されたはずの価格と解されています。
    「不正な利益」とは、談合によって得られる金銭その他の経済的利益であって、社会通念上、不当に高額のものをいうと解されており、「祝儀」程度であれば「不正な利益」に当たらないと解されています。
    「談合」とは、公の競売・入札において、競争者が互いに通謀して、ある特定の者を契約者とするために、他の者は一定の価格以下または以上に入札しないこと協定することをいうと解されています。
    談合それ自体によって犯罪が既遂になり、実際に談合に従った行動がなされることは必要ないと解されています。

    談合罪で有罪となった場合、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金、またはこれらの両方が科せられます

  2. (2)刑法の「収賄罪」

    談合における入札情報を漏らすことを約束して、見返りに現金などの報酬を得た公務員は、刑法第197条1項の「収賄罪」によって処罰される可能性があります。公務員がその職務に関して賄賂を収受した場合、またはその要求や約束をした場合に成立する犯罪で、法定刑は5年以下の懲役です。

    さらに、賄賂の収受や要求・約束によって実際に入札情報を漏らすと、刑法第197条の3第1項の「加重収賄罪」となり、1年以上の有期懲役が科せられます。有期懲役の上限は20年なので、最低でも1年以上、最長では20年という重罪です。

  3. (3)独占禁止法の「不当な取引制限」

    公務員による入札情報の漏示などがない場合でも、業者同士による入札談合をした場合は、独占禁止法(正式名称:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に違反します。

    独占禁止法は、事業者に対して「私的独占又は不当な取引制限をしてはならない」(独占禁止法第3条、第2条第9項第6号)と規定しており、談合は後段の「不当な取引制限」に該当する可能性のある行為です。

    入札談合に加わった担当者には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科せられる可能性があり、入札談合に加わった法人等には5億円以下の罰金が科せられる可能性があります(独占禁止法第89条第1項第1号、第95条第1項第1号、同第2項第1号)。

3、公務員が関与する官製談合はさらに厳しく処罰される

業者同士が入札価格を申し合わせる「談合」は、公共工事などの価格を高くしてしまうため、本来、発注側の官公署は被害者の立場となります。
ところが、実際に談合が処罰された事例に目を向けると、被害者の立場であるはずの官公署側が談合を主導したり、談合を助長したりするといったことが目立ちます。

  1. (1)入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(官製談合防止法)違反

    本来は被害者側の立場となる官公署の職員が、入札に関して事業者などに談合を唆した、または予定価格など入札に関する秘密を教示した場合は、「入札談合関与行為」に該当します(官製談合防止法第2条5項)。

    官製談合防止法は、相次いだ官製談合事件の再発防止と処罰を目的として制定された法律です違反した職員は、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられます(官製談合防止法第8条)。

  2. (2)刑法の「公契約関係競売等妨害罪」

    入札に際して予定価格などの情報を漏示した公務員は、「公契約関係競売等妨害罪」(刑法第96条の6第1項)によって処罰されます。偽計・威力を用いて、公の競売または入札の公正を害する行為をした場合に成立する犯罪で、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

    ここでいう「偽計」とは、人の判断を誤らせる術策を用いることを意味しています。最低価格など入札に関する情報を、入札を予定している業者に対して事前に漏示する行為は「偽計」にあたると解されています。

    談合罪は、公正な価格を害する目的や、不正な利益を得る目的がないと成立しません。
    ところが、公契約関係競売等妨害罪は、その目的にかかわらず入札の公正を害する行為をはたらいた者を処罰するため、談合罪が成立しないケースでも処罰の対象となります。

4、談合を持ちかけられた場合の正しい対処法

談合は、公正な入札を妨害し、ひいては税金を無駄に浪費させることになる悪質な行為です。
入札予定の業者同士で談合をはたらく場合はもちろん、本来は被害者側の立場である官公署の職員が最低価格などの情報を漏示する行為は、法律によって厳しく処罰されます。

入札業者として談合に加わった場合は、談合罪・官製談合防止法違反に該当して処罰を受けるだけでなく、社名が報道される、指名停止業者として公開されるなど、会社の存続にかかわりかねない重大な事態を招きます

また、官公署の職員が入札予定の業者から賄賂の約束を持ちかけられて、または自ら賄賂を要求して、見返りに再低価格などの情報を漏示してしまうと、談合罪・加重収賄罪、公契約関係競売等妨害罪、官製談合防止法違反、公契約関係競売等妨害罪に該当するため、失職は免れないでしょう。

談合への参加や、入札予定業者に対する情報の漏示は、絶対に避けるべきです。業者同士の慣習や目先の利益にとらわれていると、厳しい刑罰を受けたうえで、経済的にも大きなダメージを被ってしまいます。

捜査機関は、談合について非常に厳しい姿勢を持っているため、事実が発覚すれば詳しい捜査が進められるのは確実です。談合に関与している事実があれば、弁護士に相談のうえですすんで捜査に協力するなど、逮捕や厳しい刑罰を回避するための対策を講じておくべきでしょう。

また、談合の事実がないにもかかわらず容疑をかけられてしまっている場合も、やはり弁護士のサポートは必須です。談合の事実がないことを客観的に示す証拠を集めて捜査機関に主張することで、容疑が晴れて逮捕・刑罰の危険を回避できるでしょう。

5、まとめ

談合は、法律によって厳しく禁止されている行為です。談合に関与してしまえば、逮捕や厳しい刑罰は免れないだけでなく、会社の社会的評価は失墜し、公務員は失職を避けられません。

談合を持ちかけられても参加しないのは当然ですが、もしすでに談合に関与してしまっているのであれば、弁護士に相談して適切な対策を講じておくべきです。また、談合の事実がないのに容疑をかけられてしまっている場合でも、やはり容疑を晴らすためには客観的な証拠が必要なので、弁護士のサポートは欠かせません。

談合に関与してしまった、あるいは容疑をかけられており困っているといった不安を抱えている方は、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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