家族がパチンコでの置き引きで捕まった!? 弁護士が対処法を解説!
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パチンコは身近な遊戯として、ここ高崎市でもたくさんのお店が営業しています。しかし、パチンコに熱中するあまりか、置き引きなどの被害も発生しているという事実があることは否定できません。そのためか、群馬県警察本部が、パチンコ店を経営する群馬県遊技業協同組合の総会で、防犯強化を要請したというニュースがありました。
置き引きとは、置いてあった他人の持ち物を持ち去る行為のことをいいます。他人のものを盗むという点では、スリと同じですが、置いてあったものを持ち去るだけですから「たかが置き引き」という軽い意識が浸透しているようにも感じられます。しかし、置き引きは窃盗罪などに該当する可能性のある犯罪行為であり、発覚すれば懲役や罰金などの刑罰を受けることがあります。
そこで今回の記事では、一般的に「置き引き」と呼ばれる行為がどのような犯罪にあたり、どのような刑罰を受けるのかを解説していきます。
そして、もしも家族が置き引きで逮捕されてしまった場合には、どう対処すればいいかについても紹介していきます。
1、置き引きとは
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(1)置き引きをした場合に問題となりうる犯罪
置き引きとは、一般的に、置いてあった他人の持ち物を持ち去ることです。
しかし、「誰も見ていないから大丈夫だろう」という安易な出来心で持ち去ると、犯罪となる可能性が十分考えられる行為なのです。
犯行が発覚する経緯としては、防犯カメラなどから特定されるケースと現行犯逮捕されるケースがあります。
実際に逮捕され、有罪判決が下されると、懲役や罰金などの刑罰を受ける以外にも、会社や学校に知られることで職を失ったり、学校を辞めなくてはならない事態になったりするなど、各方面に悪影響をもたらします。
このように、決して軽く考えてはいけない行為なのです。
ところで、「置き引き」という言葉自体は、慣習として使用されている感がありますが、厳密には2つの犯罪を示す用語です。
どのような場合に、どの罪名にあたる行為になるのか、以下に詳細にみていきましょう。 -
(2)窃盗罪
他人が物品を占有している状態で、その物品を持ち去った場合は、窃盗罪に該当します。
たとえば、以下のケースが該当します。- 居眠りをしている人物に近づき脇に置いているバッグを持ち去る。
- となりの席に座っている人間が財布を忘れて立ち上がったすきに財布を持ち去る。
これらの行為は、他人が管理しているものを盗む行為に該当するので、「窃盗罪」にあたります。
窃盗罪(刑法第235条)の罰則は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。ただし、事件の重大さや被害額、悪質性などによって、実際に科せられる刑罰は変わります。 -
(3)占有離脱物横領罪
一方で、他人の持ち物が他人の占有から離れている状態で持ち去った場合は、占有離脱物横領罪にあたります。
たとえば、以下のケースが該当する可能性があります。
●誰もいない路上に落ちているものを勝手に持ち去る
一般的に落とし物や持ち主不明のものを見つけたら、最寄りの交番に届けるものです。にもかかわらず、これを自分の持ち物として持ち去ってしまう行為は、持ち主の占有を離れた物品を不法に領得することになるため、占有離脱物横領罪に該当するのです。
占有離脱物横領罪は、窃盗罪と比較すると罰則が軽くなっています。占有離脱物横領罪の罰則は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料です。
罰金と科料はともに金銭を支払わなくてはならない刑罰ですが、1万円未満の支払いを命じられるのが科料で、1万円を超えると罰金となります。
2、逮捕されるとどうなる?
では、実際に置き引きで逮捕されてしまったら、その後の手続きはどのようになるのでしょうか。
ここでは逮捕から裁判までの流れを解説します。
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(1)逮捕
逮捕は犯行現場で逮捕される現行犯逮捕と、もしくは逮捕状を持って、後日警察が自宅にやってくる通常逮捕があります。逮捕されると身柄を拘束されて、警察の取り調べを受けます。
警察は逮捕後48時間以内に被疑者を釈放するか、または検察に送致しなくてはなりません。なお、この48時間は、家族でも面会することができません。逮捕後の状況がどうなっているのかお互いにわからず、このような状態は逮捕された本人も、家族も非常に不安な気持ちになるものです。
しかし、48時間の中でも、弁護士は唯一面会が可能となっています。ですので、家族が逮捕された場合は、まずは弁護士に相談して面会を依頼しましょう。 -
(2)勾留
逮捕後の警察の取り調べにより検察官送致が決定すると、検察庁に身柄が引き渡されます。検察庁では、検察官による取り調べが行われ、関係書類などと照合し、送致を受けてから24時間以内に勾留請求をするか否か判断します。
検察官が勾留の理由があると判断した場合、検察官は裁判所に対して勾留請求の手続きをとります。
勾留が認められると、原則10日間、勾留延長の請求が認められれば最長20日まで延長され、身体を拘束されます。 -
(3)起訴・裁判
検察官が証拠等から起訴が相当であると判断すると、裁判になります。刑事事件の裁判では、被疑者が有罪か無罪か、有罪であった場合は量刑が判決によって言い渡されます。
短いもので数か月、事案によっては1年近くかかるケースもあります。
3、置き引きで逮捕されたら弁護士に相談を!
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(1)家族にできること
もしも家族が置き引きで逮捕されてしまったら、まずは逮捕から裁判に至るまでの流れを確認して、落ち着いた対処をすることが重要です。
特に、逮捕から勾留に至るまでの72時間の間は、家族でも面会できません。しかし、このたった72時間が早期釈放を目指すうえでとても重要な期間となります。
勾留が決定すると、そこから10日間、最長20日間、合計で23日間もの間身体を拘束され、学校や社会生活に深刻な影響を及ぼします。
さらに、起訴された場合は裁判の開始から判決が下るまで、事案によっては1年以上の時間を要するケースもあります。判決を待ちながら被告人として勾留され続けることは、本人にとって非常に精神的な負担が大きくなります。
なるべく早い段階で弁護士に相談し、早期釈放を求め、保釈の申請や保釈金の用意、勾留中の面会などで、家族が支えていく必要があるでしょう。 -
(2)弁護士に相談したほうがよい理由
前述したとおり、弁護士は家族であっても面会できない逮捕から72時間以内の期間も、職権で面会することが可能です。逮捕された直後の不安な時期に、取り調べや捜査の対応について弁護士からのアドバイスを受けることができるのは、非常に心強いはずです。
また、起訴されてしまうまでに弁護士が被害者との交渉を代理してくれれば、示談による告訴の取り下げなど、早期解決も期待できます。
また、刑事裁判に進んだ場合も、無罪や減刑を促すために被告人にとって有利な情報を裁判官に提示したり、被害者との示談交渉によって反省の意を示したりして減刑を求めるなどの弁護活動を任せられます。
置き引きで逮捕されてしまったら、すぐに弁護士にサポートを依頼することをおすすめします。
4、まとめ
置き引きで逮捕されてしまったら、できるだけ早急に弁護士に相談しましょう。弁護士に相談することで、被害者との交渉が円滑に進むだけでなく、早期釈放の可能性も出てきます。
また、逮捕から72時間以内の非常に重要な時間に面会ができるのは弁護士だけです。事件の早期解決に向け、今後の対応について具体的なアドバイスを受けられます。アドバイスを取り入れた取り調べでの態度などによって、事件に向き合う姿勢などが評価されて、起訴か釈放かが左右される可能性もあります。
もしも家族が置き引きで逮捕されてしまったら、ベリーベスト法律事務所高崎オフィスにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています