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写真の無断使用による著作権侵害が発覚! 罰則や対処法について解説

2023年01月19日
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写真の無断使用による著作権侵害が発覚! 罰則や対処法について解説

高崎市内には、いわゆるインスタ映えがする人気フォトスポットが点在しています。撮影した写真は、SNSや個人のサイトなどにアップし、高崎の魅力を発信しているケースがあるでしょう。

SNSや個人サイトは、写真を撮影・公開した本人にとって大切な自己表現の場です。シェアやRTなどによる拡散ではなく、まるで自ら撮影したかのように写真や画像を他人に無断で使用されてしまったときは、強い怒りを感じることは無理もないことと考えます。

本コラムでは「写真の無断使用」が発覚したケースを想定して、相手はどのような責任を負うのか、無断で使用されたことに気づいたらどのように対応すればよいのかなどを、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、写真の無断使用は著作権侵害! 罰則や典型的なケース

SNSや個人ブログに掲載されている写真をはじめ、企業や官公庁のホームページ、映画やアニメの公式サイトなどに掲載されている画像などは、すべて知的財産権によって保護されます。日常の風景や訪ねた店舗、商品などの写真でも、撮影した本人などの権利者が許諾していない無断使用は「著作権侵害」にあたります。

  1. (1)個人が撮影した写真にも「著作権」がある

    「著作権」とは、著作物やその創作者を保護する権利です。

    著作物といえば、小説・論文・映画・ドラマ・演劇・アニメ・漫画・絵画・音楽などをイメージする方が多いでしょう。これらは、出版社やテレビ局などの会社が関与していたり、有料で提供されていたりするものがほとんどなので、有名作品や商用利用されているもの、有償提供されているものが著作権によって保護されるという印象があるかもしれません。

    たしかに、ここで挙げたのは著作物の典型例です。しかし、著作権法が定義する著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と明示されており、有償・無償や商用・個人用では区別されません。

    個人が撮影した写真は、日常生活の瞬間を切り抜いたものが多く、特別芸術性が高いというわけではない場合がほとんどでしょう。ただし、どのような被写体の、どのような瞬間を撮影するのかという選択、構図、カメラの設定などの結果として撮影された写真は、撮影者の思想や感情が表現されたものだといえます。

    つまり、職業として写真撮影をしているプロのフォトグラファーによる作品はもちろん、個人が撮影した写真も、著作権の保護対象です。

    なお、被写体が「物」ではなく「人」の場合は、著作権ではなく「肖像権」によって保護されます。肖像権とは、人の容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を無断で公表・利用されたりしない権利です。

    著作権は著作物に関する利益を保護する権利ですが、肖像権は個人のプライバシーを保護するという点でまったく別の性質をもっています

  2. (2)著作権侵害の罰則

    著作権侵害は、著作権法の定めに反する犯罪です。著作権法第119条1項の規定に従い、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

    なお、この罰則は個人に対するものです。法人、法人の代表者、従業員などが法人の業務に関して他人の著作権を侵害した場合は同法第124条1項1号が適用され、行為者だけでなく法人にも3億円以下の罰金が科せられます

  3. (3)著作権侵害の典型的なケース

    写真の無断使用について、著作権侵害にあたる典型的なケースを例示してみましょう。

    • 個人ブログにアップした写真が、他人のSNSのプロフィル画像に無断使用された
    • SNSに投稿した画像が無関係の会社のホームページで使われていた
    • 引用元を明かさない、引用部分を明確にしていないなど、引用のルールを守らずに転載された
    • 自分が公開している写真を、無許可で加工されて使用された


    「他人の写真を無断で使用してはいけない」というルールは広く知られています。しかし、なかには「引用だから大丈夫」「加工したら別の著作物になる」といった誤った判断で著作権侵害を犯す方は少なくないので注意が必要です。

2、写真の無断使用を見つけた! どのように対応するべき?

自分が撮影・公開している写真を無断で使用されていることに気づいたら、どのように対応すればよいのでしょうか?

  1. (1)相手に直接警告する

    まず考えられるのが、写真を無断使用している相手に対して直接「著作権侵害にあたる」と警告することです。SNSなら対象のアカウントにダイレクトメッセージ(DM)を送信する、個人ブログや会社のサイトなどの場合はコメントや問い合わせフォームを利用するなどの方法で警告します。

    著作権侵害にあたることを知らなかったというケースも少なからず存在するので、警告をすることで著作権侵害の状態を解消できるかもしれません。

  2. (2)サイト・ブログ・SNSなどの管理会社に通報する

    警告しても写真の使用をやめてくれない場合は、サイト・ブログ・SNSなどの管理会社に対して権利侵害を理由に削除を求めます。各サービスの削除ガイドラインに照らして削除対象となれば、管理会社の権限で削除されます。

    また、削除には対応しない代わりに、管理会社から相手に通知する場合もあり、対応は一律ではありません。

  3. (3)Google検索からの削除を申請する

    警告や管理会社への通報では効果がない場合は、Google検索からの削除を申請し、「Googleで検索しても表示させない」という手段での対応をとることもできます

    Googleでは、Googleのポリシーに反するコンテンツへのアクセスを制限できます。不適切なサイトは検索しても表示されないので、著作権侵害の状態が拡散される危険が大幅に低くなるでしょう。

  4. (4)法的措置を検討する

    警告・通報などの対応では誠実な対応が得られない場合は、法的措置を検討することになります。著作物の使用の差し止めや名誉回復に向けた措置、損害賠償請求といった手続きを進めて解決を図るのは、個人の力だけでは困難なので、弁護士のサポートは欠かせません。

3、写真の無断使用が問題となった実際の裁判例

【東京地裁 平成27年4月15日 平成26(ワ)24391】
ここで、写真の無断使用が問題となった実際の裁判例を紹介します。本事例は、イラストや映像素材などのコンテンツを販売するサイトの運営会社が、自社が販売している画像を無断で使用した法人に対して損害賠償などを請求した事例です。

  1. (1)事案の概要

    著作権侵害を訴えたのは、2500万点以上の写真・イラスト・映像素材などのコンテンツをそろえたサイトの運営会社Aと、自身が撮影した写真について同サイトに写真の利用を許諾した写真家らです。訴えられたのは弁護士法人Bで、自社サイトにおいて運営会社Aが販売している写真を、許諾を受けないまま掲載していました。

    運営会社Aや写真家らは、弁護士法人Bに対して、掲載期間にかかる利用料金や運営会社Aから分配されるはずだった利益分に加えて、慰謝料の支払いを求めました。

    一方、弁護士法人Bは、自社サイトに写真を掲載したのは従業員であるが、本人は利用料金の支払いが発生しない、いわゆる「フリー素材」だと誤認していたと主張します。

  2. (2)「フリー素材だと思っていた」という言い訳は通用しなかった

    弁護士法人B側は、第三者が運営会社Aから購入した写真がフリー素材として流出したものであると思われるうえに、写真の取得から時間が経過しているのでどのようにデータを入手したのかも記憶していないものの、少なくとも検索エンジンの画像検索で表示されるサムネイル画像をコピーしたものではないと主張しました。

    この点について裁判所は、たとえフリー素材を提供するサイトから入手したものであっても、権利関係などが明らかではない著作物の利用は控えるべきだったとして、弁護士法人Bの主張を退けています

  3. (3)「ただのミスだった」という言い訳も認められなかった

    弁護士法人Bは、フリー素材だと信じていたところ実はフリー素材ではなかったという点について、自社の従業員の過失、つまり「ミスだった」としたうえで、ミスによって著作権を侵していたため警告を受けた時点で削除すれば足りると主張しました。

    この点についても、裁判所は、弁護士法人Bの従業員がウェブサイト作成の経験が豊富という経歴をもっている点から、フリー素材であっても著作権侵害の可能性を十分に認識しなければならず、単なる過失ではなく少なくとも「未必の故意」があったと認定しています。

    また、警告を受けた時点で削除すれば足りるという主張も、そのような対応をしたからといって直ちに著作権侵害の責任を免れられるとはいえないとし、採用しませんでした。

4、悪質な写真の無断使用を弁護士に相談するべき理由

写真の無断使用は、著作権を侵す行為です。権利者からの警告を受ければ謝罪のうえで直ちに権利侵害の状態を解消するのが当然ですが、なかにはその求めに応じず写真の使用を継続する不正利用者も存在します。

悪質な無断使用者に対応するには、弁護士のサポートが欠かせません。

  1. (1)弁護士からの警告で削除される可能性が高い

    写真の撮影者など著作権者からの警告を受けても真摯(しんし)な対応がみられない場合には、弁護士が代理人として警告することで削除される可能性が高まります
    著作権侵害の行為者側の立場からみれば、警告してきた人物が本当に著作権者なのかを判定する方法がありません。言いがかりや嫌がらせと受け取られてしまうこともあるでしょう。

    しかし、弁護士に依頼すれば、法的な側面からどのような権利侵害にあたるのかを詳しく告げる警告文を発信できます。相手方の警戒も解きながら著作権侵害の状態を円滑に解消できる可能性が高まるので、無断使用に気づいたらまずは弁護士に相談するのが最善です。

  2. (2)無断使用者の特定を依頼できる

    SNSなどにおける無断使用では、アカウントの情報だけではどこの誰が著作権を侵害したのかが判然としないので、その後の手続きを進めるためには無断使用者の特定が必要です。

    無断使用者の特定には、裁判所の「発信者情報開示請求」か、「発信者情報開示命令に関する裁判手続」を利用することになります。後者の発信者情報開示命令という手続きは、令和4年10月1日から施行された新しい制度です。
    従来の「コンテンツプロバイダに対する仮処分申し立て」と「インターネットプロバイダへの訴訟提起」という2段階の手続き(これらを総称して「発信者情報開示請求」と呼ばれています)を一本化したもので、円滑な権利回復の実現に向けた効果が期待されています。

    複数の手続きが一本化されたことで権利者の負担も大幅に軽減されると考えられますが、事案によって相手方の対応が異なることから、どちらの手続きのほうが適切かつ早期に解決へ導けるかは、個別の事情などによって大きく異なります。関係法令の知識や豊富な実務経験が求められるので、弁護士のサポートは必須です。

  3. (3)刑事告訴や損害賠償請求のサポートも依頼できる

    著作権侵害は犯罪です。従来、著作権侵害は権利者の「告訴」がなければ刑事責任を追及できない「親告罪」とされていましたが、平成30年の法改正によって一部が非親告罪とされています。

    とはいえ、警察に被害を申告するにあたっては、どのような著作物がどんな形態で権利を侵害されたのかといった点を詳しく説明する必要があるうえに、厳しく刑事罰を科してほしいという意向を確認する点からも、刑事告訴による申告が一般的です。

    刑事告訴の際には、犯罪となる事実の特定や告訴の経緯・背景などを詳しく「告訴状」にまとめることになります。法律上は「口頭でも可能」とされていますが、資料を手に何度も警察署に足を運んで告訴調書の作成に対応する必要があるので、権利者の負担は小さくありません。弁護士に依頼すれば、告訴状の作成や提出も一任できるので、最小限の労力で無断使用者の刑事責任を問うことが可能です。

    また、損害賠償請求など民事訴訟の対応も、やはり弁護士のサポートを受けずに対応することは非常に難しいことです。個人による対応では労力が多大になるうえに、そもそも知的財産権に関する法令の解釈は非常に難しいため、どのような主張を展開すればよいのかさえ判然としないケースが多いでしょう。賠償額がいくらになるのかの算定も難しい問題になるので、経験豊富な弁護士のアドバイスは必須といえます。

5、まとめ

個人が撮影したものでも、写真は「著作権」の保護対象です。無断使用を防ぐためには、SNSへの投稿でも画像にコピーライトを加える、個人ブログや自身が開設しているサイトでは著作権に関する事項を明記するといった対応を尽くしておくのが望ましいでしょう。

第三者による無断使用を受けた場合は、写真の使用差し止めに向けた警告や損害賠償の請求、告訴による刑事責任の追及といった対応を要する展開も想定されます。個人で判断し、対応するのは難しいので、無断使用が発覚したら直ちに弁護士に相談しましょう。

写真の無断使用など著作権侵害トラブルにお悩みなら、削除依頼や名誉回復、知的財産権に関するトラブルの解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 高崎オフィスにご相談ください。法的にできる対応を検討し、力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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