ネットでクレームをしてきた客が金銭要求してきた! どう対処すべき?
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令和4年に高崎警察署管轄内で検挙された刑法犯は819件でした。
顧客から金銭の要求を含むクレームは恐喝等の犯罪に当たる可能性があるため、受けた場合には、慎重に対応することが大切です。弁護士のアドバイスを受けながら、会社や事業はもちろんのこと、個人に対してもダメージの少ない対応を心がけましょう。
本記事では、顧客から金銭要求のクレームを受けた場合の対処法などを、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。
出典:「令和4年度統計季報」(高崎市)
1、過大な金銭要求のクレームは「恐喝罪」に当たる可能性あり
顧客のクレームは、正当なものである場合もありますが、合理的な根拠がない理不尽なものであるケースも多いです。理不尽な顧客のクレームは「カスハラ(カスタマー・ハラスメント)」と呼ばれることもあります。
会社や事業者は、正当なクレームとそうでないクレームを見極めることが重要です。
脅迫等で相手を畏怖させ、金銭その他の財物を脅し取ることは「恐喝罪」に当たり得る行為です(刑法第249条)。恐喝罪に当たるクレームを受けた場合は、刑事告訴も視野に入れて対応しましょう。
顧客の不当要求に屈すると、相手はさらに弱みに付け込み、要求をエスカレートさせることが多いです。クレームによる損害を最小限に抑えるため、弁護士に相談しながら適切な対応を行いましょう。
2、金銭要求のクレーム対応時に気を付けるべきこと
金銭要求のクレームに対応する際には、以下のポイントに留意した上で対応しましょう。
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(1)1人で対応せず、複数人で連携して対応する
顧客のクレームに対しては、その内容にかかわらず、複数人で連携して対応するのが鉄則です。
担当者1人では、クレームへの対応を、屈さずに行うことは難しいです。また、大きな損害が出る可能性もあるので、複数で情報を共有しながら対応するほうが良いでしょう。
クレーム対応は現場の判断だけに任せず、チームで連携して行うことが大切です。 -
(2)その場で対応を確約せず、持ち帰って検討する
顧客からクレームを受けた際には、その場で対応を確約するのは厳禁です。必ず持ち帰った上で、どのような対応を行うべきかを慎重に検討しましょう。
冷静になって事案を分析すれば、とるべき対応が見えてきます。状況をクールダウンさせる意味でも、その場限りでの対応に終始せず、持ち帰って検討を行うべきです。 -
(3)クレームが正当か否かを確認する
顧客のクレームには、正当なクレームは真摯(しんし)に聞き入れる一方で、理不尽なクレームは毅然(きぜん)と拒否するという姿勢をとるべきです。
そのためにも、クレーム対応を行うに当たっては、クレームが正当か否かを確認することが必須となります。担当者に何らかの落ち度があるのであれば、顧客の要求をある程度受け入れた上で和解することも検討すべきでしょう。
これに対して、担当者に何らの否もない場合は、顧客にその理由を説明した上で、請求を拒否しましょう。安易に請求に応じると、顧客の要求がエスカレートする可能性があるのでご注意ください。 -
(4)和解のラインを検討する
顧客のクレームに一定の合理性があり、担当者の落ち度が否定できない場合は、和解による解決を目指すことが考えられます。
和解を目指す場合でも、顧客の要求を鵜呑みにする必要はありません。チームで法的な検討を行い、支払うべき損害賠償などの金額を見極めた上で、受け入れられる和解ラインを設定しましょう。
和解ラインを検討するに当たっては、法律や裁判例に関する検討が必要になりますので、弁護士にご相談ください。 -
(5)マニュアルを事前に作成し、それに基づいて対応する
クレーム対応については、事前にマニュアルを作成しておくことが望ましいです。マニュアルに基づいて対応すれば、想定しないイレギュラーな事態や、不適切な対応による損害のリスクを抑えられます。
マニュアルの内容は、実際のクレーム対応に関するフィードバックを反映して、継続的に改善・見直しを行いましょう。
3、ネットに理不尽なクレームを書かれた場合の対処法
インターネット上に理不尽なクレームを書かれた場合、放置すると風評被害が拡大してしまいます。以下の対応を迅速に行い、会社の損害を最小限に食い止めましょう。
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(1)投稿の削除を請求する
まずは、一刻も早く理不尽な投稿を削除させることが大切です。
クレーム投稿を削除させるには、以下の方法が考えられます。- ① 発信者に、直接削除を請求する
- ② サイト運営者・管理者に、直接削除を請求する
- ③ コンテンツプロバイダに、削除を請求する
- ④ 検索サイトに、削除を請求する
具体的な方法は、任意請求(内容証明郵便・送信防止措置依頼等)または仮処分の2つに分けられます。
インターネットトラブルの解決実績がある弁護士のサポートを受けながら、状況に合わせた方法を用いて、迅速な投稿の削除を目指しましょう。 -
(2)投稿者を特定する|発信者情報開示請求
理不尽なクレームの投稿によって損害を受けた場合は、投稿者に対して損害賠償を請求できます。ただし、投稿者が匿名の場合には、まず投稿者を特定することが必要です。
匿名投稿者を特定するには、「発信者情報開示請求」を行うことが考えられます。投稿先サイトの管理者や、投稿に用いられた端末のインターネット接続業者から、投稿者の個人情報の開示を受けられる可能性があります。
発信者情報開示請求は、裁判所に対する申立てを通じて行うのが一般的ですが、発信者の情報が記載されたログの保存期間が経過する前に対処する必要があるので、迅速な行動が必要です。情報開示の実績がある弁護士に依頼すれば、全面的に代行してもらえるため安心です。 -
(3)投稿者に損害賠償を請求する
投稿者が特定できたら、理不尽なクレームの投稿によって被った損害の賠償を請求しましょう。
損害賠償請求は、示談交渉や訴訟などを通じて行います。損害賠償請求においては、事案における適切な損害額の決定と、交渉術が問われます。
弁護士には、損害賠償請求の交渉・訴訟についてもお任せいただけます。
4、金銭要求のクレーム対応について弁護士ができるサポート
金銭要求のクレームについては、弁護士のサポートを受けながら対応するのがおすすめです。
弁護士はクレーム対応に関して、主に以下のサポートを行っています。
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(1)刑事告訴のサポート
脅迫的な言動が用いられるなど、犯罪になり得るクレームについては、刑事告訴も検討すべきです。
刑事告訴を行う際には、警察署などに告訴状を提出します。犯人訴追の可能性を高めるためには、クレームの状況や内容を克明に告訴状へ記載し、証拠も添えて提出することが大切です。
弁護士は、悪質なクレームに関する刑事告訴をサポートします。犯人の処罰を強く求める場合は、刑事告訴について弁護士のサポートをご利用ください。 -
(2)クレームに関する法的検討
クレーム対応を行うに当たっては、法律や裁判例などに関する法的検討が必要不可欠です。適切に法的検討を行うことにより、とるべき対応が正しく見えてきます。
弁護士は、クレーム対応に関する法的検討をサポートします。法律や過去の裁判例をリサーチし、具体的な事案を分析した上で、どのような対応方法が望ましいかをアドバイスすることが可能です。 -
(3)相手方との和解交渉・訴訟などの代理
クレーム客との間では、和解交渉や訴訟の対応が生じることもあります。その場合は、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士は、クレームに関する和解交渉や訴訟の代理人として対応を行います。
弁護士が代理人として対応すれば、労力は大幅に軽減され、仕事に集中できるようになるでしょう。また、訴訟などの専門性が高い手続きについても、弁護士が代理人として適切に対応します。
クレームに関するトラブルを穏便に解決し、会社の損害を最小限に食い止めるためには、弁護士による代理対応が望ましいです。顧客からのクレームにお悩みの会社または事業者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。
5、まとめ
金銭要求のクレームを受けた際には、その正当性を検討した上で、損害を最小限に食い止められるように対応しましょう。クレーム対応の方法については、法的な観点からの検討が必要になるため、弁護士への相談をおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、クレーム対応に関するご相談を随時受け付けております。刑事告訴や損害賠償請求などを含む悪質クレーマー対応についても、経験豊富な弁護士が親身になってアドバイスいたします。
顧客からのクレームを受け、どのように対応すべきかお悩みの企業は、お早めにベリーベスト法律事務所 高崎オフィスにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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