群馬県在住者の未払い残業代の請求法|労働基準監督署と弁護士の違い

2024年05月27日
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群馬県在住者の未払い残業代の請求法|労働基準監督署と弁護士の違い

群馬労働局の公表によると、令和4年4月から令和5年3月までの間に、長時間労働が疑われる960事業所に対して、労働基準監督署が監督指導を行ったとのことです。内、違法な時間外労働があったのは345事業場、さらに賃金を払わずに残業させていたケースは57事業場もあったことが公表されています。

このように、労働基準監督署は、労働基準法等の労働関連の法律に違反している会社を調査した上で、指導や書類送検する権限を有しています。では、未払いの残業代がある個人に対しては、どのように動いてくれるのでしょうか。群馬県在住の方が不払い残業代請求を行う方法と、相談を受けた労働基準監督署と弁護士が行うことの違いについて、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。


労働問題を高崎の弁護士に相談
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1、労働基準監督署とは

  1. (1)労働基準監督署に残業代請求をした場合の対応

    労働基準監督署とは、企業が労働基準法や冒頭の最低賃金法などの労働関連法を守っているかどうかを監視するための公的機関です。原則として「違法行為がないかどうか」を確認する機関なので、労働者の残業代請求や未払いの給与を、労働者の代わりに請求することはありません。

    しかし、残業代未払いという状態は、多くのケースで労働基準法違反です。したがって、従業員が労働基準監督署に「申告」することで、労働基準監督署が調査をした上で事実が確認されれば、会社側に「是正勧告」を行うこともあります。

    その結果、残業代が支払われるケースもありますが、是正勧告には法的拘束力がないため、残業代の支払いを強制することはできません。会社によっては是正勧告を無視することもあるため、確実に支払ってもらえる方法ではないという点に注意が必要です。

    労働基準監督署に相談する最大のメリットは、是正勧告によって職場の労働環境が改善される可能性があるという点でしょう。

    確実にあなた自身の未払いとなっている残業代を支払ってもらうためには、労働審判や裁判にする必要があります。会社に対して残業代請求を行うためには、最終的には個人で立ち向かうか、弁護士などに交渉を依頼する必要があります。

  2. (2)群馬県の労働基準監督署一覧

    高崎市がある群馬県下にある、労働基準監督署は以下のとおりです。

    ●高崎労働基準監督署
    管轄区域:高崎市(藤岡労働基準監督署の管轄区域を除く。)、富岡市、安中市、甘楽郡(甘楽町・下仁田町・南牧村)

    ●前橋労働基準監督署
    管轄区域:前橋市、渋川市、北群馬郡(榛東村・吉岡町)、伊勢崎市、佐波郡(玉村町)

    ●桐生労働基準監督署
    管轄区域:桐生市、みどり市

    ●太田労働基準監督署
    管轄区域:太田市、館林市、邑楽郡(板倉町・邑楽町・大泉町・千代田町・明和町)

    ●沼田労働基準監督署
    管轄区域:沼田市、利根郡(片品村・川場村・昭和村・みなかみ町)

    ●藤岡労働基準監督署
    管轄区域:藤岡市、高崎市のうち新町、吉井町、多野郡(上野村・神流町)

    ●中之条労働基準監督署
    管轄区域:吾妻郡(東吾妻町・草津町・高山村・嬬恋村・中之条町・長野原町)

2、未払い残業代請求について相談するなら? 弁護士と労働基準監督署、対応の違い

労働基準監督署に残業代請求について相談するメリットは、職場全体の環境が改善する可能性があることにあります。次に、弁護士に相談するメリットについて解説します。

  1. (1)弁護士はアドバイスだけでなく交渉や訴訟まで対応

    弁護士に未払い残業代について相談した場合、まずは勤務状況や勤怠管理の方法など残業代を請求するための情報をしっかりと聴取します。その上で、残業代を請求するために必要な証拠ややるべきことを、個別の状況に合わせてアドバイスを行います。

    個人で請求をしても応じてもらえない場合は、そのまま弁護士に交渉を依頼することによって、面倒な会社との交渉を一任することができます。弁護士は、直接交渉だけでなく、裁判や労働審判も行うことができるので、訴訟を視野に入れた力強い交渉が可能です。

  2. (2)実現したい望みによって相談先は異なる

    労働基準監督署に未払い残業代について相談するメリットは、「是正勧告」によって今後の残業代もきちんと支払われる可能性があることや会社の労務環境が改善される可能性があることです。

    デメリットは、個人の残業代を請求してくれるわけではないことです。先述したように、労働基準監督署は、残業代請求を労働者個人のために行ってくれることはありません。

    弁護士に未払い残業代について相談して依頼するメリットは、「残業代請求」に焦点を当てて、確実に残業代を請求するために最善の手続きを行う点です。また、あなた自身が時間や手間を取られる必要がなく、雇用主側と直接交渉する必要がない点もメリットといえるでしょう。示談交渉だけでなく、訴訟を視野に入れて交渉できるので、残業代を請求したい方にとっては頼もしい味方となるのではないでしょうか。

    弁護士に依頼するデメリットは費用がかかることです。ただし、成功報酬制の法律事務所に依頼すれば、残業代を受け取れない結果となっても実費以外の費用はかかりません。また、残業代請求に成功すれば、受け取れる残業代のほうが多くなるため実質的な費用の負担はないことが多いといえます。

3、未払い残業代請求を行う手順

主に以下の順番で請求することになります。

なお、残業代の請求には時効があります。支払期日から3年が経過すると請求できなくなってしまうため、準備を整えている間にも支払われるべき残業代が消滅しているということになります。

そもそも、証拠をそろえることにも苦労されるケースは少なくありません。また、残業代の計算は複雑です。弁護士に依頼することで、証拠集めについてのサポートから、未払い残業代の計算、会社との交渉も対応してもらえるため、あなた自身の負担は大幅に軽減されるでしょう。

■参考:「未払い残業代請求における内容証明郵便の書き方|自力で行う注意点」
■参考:「未払い残業代は何年分まで請求できる? 時効を止める・遅らせる方法」

4、まとめ

労働基準監督署は無料で残業代請求について相談することができますが、会社側に未払いの残業代を支払わせる法的拘束力はありません。会社側が是正勧告を無視すれば、未払い分があったとしても受け取れないため、確実に未払い残業代を請求したいなら弁護士に相談したほうがよいでしょう。適した場所へ相談することによって、少しでも早くあなたが抱える問題が解決する可能性を高めることができます。

自分自身の未払いとなっていた残業代を請求したいのであれば、ベリーベスト法律事務所・高崎オフィスへ相談してください。労働問題についての知見が豊富な弁護士が、あなたの未払い残業代を取り戻すために力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています