商標法違反で逮捕されたらどうすべき? 高崎市の弁護士が解説します
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商標法違反の容疑で、逮捕されるケースは少なくありません。高崎市内でも起こりえることです。
たとえ小遣い稼ぎの軽い気持ちで行っただけだとしても、逮捕されその後の人生に大きく影響してしまう可能性があります。
本コラムでは、どういった行為が商標法違反になるのか、また、商標法違反で逮捕されたらどうなるのか、逮捕後はどのような対応をとる必要があるのか、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説していきます。
1、商標法とは
商標法とは、商標権を持つ者の業務上の信用を維持して産業の発達に寄与し、消費者等の需要者の利益を保護することを目的とする法律です。
商標は、登録されると登録者に商標権が与えられ、商標権者は登録商標の使用をする権利を占有し、この権利に基づいて独占排他的に登録商標を使用することができます。
また、商標権者は、登録商標の類似範囲の商標を第三者が使用することを禁止することができます。
この商標権者だけが商標を使用でき、第三者は使用について許諾を受ける等しない限り同一または類似する商標を使うことができません。
商標法違反とは、同一または類似する商標を無断で使用するなどの商標権を侵害する行為をすることをいいます。
たとえば有名ブランドの模倣品の転売は、ブランドイメージを傷つけるとともに、本物だと思い購入した消費者の利益を害することになり、商標法違反として刑罰の対象となり得ます。
2、どのような行為が商標法違反になる?
次のような行為については、商標法違反として罪に問われる可能性があります。
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(1)商標権を侵害する行為
商標権を侵害する行為をした場合には、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科される可能性があります(商標法第78条)。
たとえば「ブランド品ではないのにブランドを模したマークを付けてフリマアプリで販売した」「ブランド品を模倣したアクセサリーなどを作って販売した」といった場合には、商標権を侵害する行為をしています。 -
(2)商標権を侵害したとみなされる行為
商標権を侵害する行為だけでなく、商標権を侵害したとみなされる行為についても商標法違反となり、刑罰を科される可能性があります(商標法第78条の2、第37条各号)。商標権を侵害したとみなされる行為には、販売目的でブランド品に類似した商品を所持したり輸入・輸出する行為などが該当します。
たとえば「偽ブランド品をネット販売するために所持していた」「偽ブランド品を海外から輸入した」といった準備行為の段階でも刑罰の対象になり得ます。
このような商標権を侵害したとみなされる行為をした場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金またはこれらの懲役と罰金の両方が科される可能性があります(商標法第78条の2、第37条各号)。
3、商標法違反で逮捕されたらどうなる?
商標法違反の容疑で警察に逮捕されたときには、主に次のような流れで刑事手続が進みます。
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(1)逮捕~取り調べ
逮捕後、警察署での取り調べや捜査が行われます。取り調べでは、商標法違反について故意で行ったかどうかなどを聞かれることでしょう。警察官による取り調べは48時間以内で、釈放の判断がなされないときには検察官に送致されることになります。
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(2)送致~勾留
検察官に送致されると、検察官による取り調べや捜査を受けることになります。検察官は24時間以内に釈放するか、勾留するかを判断します。検察官が、引き続き身柄を拘束して捜査が必要だと判断した場合には、裁判官に対して勾留請求をします。
裁判官によって勾留が認められれば、原則として10日間身体を拘束されます。また、勾留の延長の必要があると検察官が判断し、裁判官に対して勾留延長請求を行い、裁判官が勾留の延長が必要であると判断すると、最大でさらに10日間の延長が認められ、勾留期間が最大20日間にも及ぶ場合もあります。
勾留が続けば、逮捕されたときから23日間も身体が拘束されるため、職場や学校など日常生活に大きな影響が生じます。 -
(3)起訴後~裁判
起訴された場合、刑事裁判へと進みます。
刑事裁判では、被告人は無罪の主張をしたり有罪であっても実刑ではなく執行猶予判決が妥当であることなど、証拠を示して主張します。被告人と検察側でこうした主張や立証が繰り返され、最終的には裁判官が判決を言い渡します。
被害者との示談が成立して損害賠償が行われているような場合、執行猶予付判決を得られる場合もあります。執行猶予が付けば、刑務所に収監されることはありません。
4、早期解決するためにはどうすればよい?
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(1)商標法違反で逮捕されるおそれがある場合
「軽い気持ちで偽ブランド品をフリマアプリで売ってしまった」などといった方は、商標法違反で逮捕される可能性を考え、不安になることでしょう。
正規のブランド会社から警告文が届いていたり、偽ブランド品を購入した消費者からのクレームなどがあったりするような場合には、放置せずに早めに対応することが重要です。
早期に弁護士に相談すれば、弁護士は依頼者の代理人として示談交渉を進めていくことができます。また、示談交渉は、当事者間で行うよりも弁護士が間に入ったほうが冷静かつ客観的に話し合いを進めることができるため、示談成立の可能性もあります。 -
(2)商標法違反で逮捕された場合
商標法違反で逮捕され、身柄が拘束されている場合には、職場や学校への社会的な影響を最小限に抑えるためにも、まずは早期釈放を目指す必要があります。
身体を拘束される期間が長ければ長いほど、周囲が事件を知ることとなり、釈放後の不利益の拡大につながってしまいます。
早期釈放を目指すためには、弁護士による被害者との示談交渉や捜査機関への働きかけなどの弁護活動が欠かせません。
できるだけ早期に弁護士を選任し、早期釈放に向けて動いていくことが重要です。
5、逮捕されたときに弁護士ができること
弁護士が、早期釈放・早期解決のためにどのような活動を行うのか説明します。
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(1)取り調べ対応のアドバイス
早期から弁護士を選任した場合、逮捕直後から弁護士が面会して取り調べに対して、どのように対応すべきかなど、アドバイスを得ることができます。なお、逮捕直後はたとえ家族であっても自由に面会することができないのが通常です。しかし弁護士はいつでも面会することが可能です。弁護士は面会を通じて取り調べに対する対応方法や主張すべきことなど、さまざまなアドバイスを行います。捜査機関からの厳しい取り調べに屈して、やってもいないことをやったといってしまい、事実とは異なる供述調書が作られてしまってはその後の展開に大きな影響を及ぼします。弁護士は依頼者が不当な不利益を被らないよう、サポートします。
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(2)被害者との示談交渉
早期釈放や刑を軽くするためは、被害者との示談交渉の成立や損害賠償がなされているかが重要なポイントになります。
逮捕された場合には、直接ご自身で被害者との示談交渉を行うことはできません。
しかし弁護士を選任していれば、弁護士が被害者との示談が早期に成立するように交渉を進めることができます。 -
(3)捜査機関や裁判官への働きかけ
弁護士は、警察や検察に対して早期釈放の働きかけを行います。
長期の身体拘束である勾留を決定する裁判官に対しても、勾留阻止のための働きかけを行います。
また可能な限り不起訴になるように、検察官に有利な証拠をそろえて提出するなどの弁護活動を行うことができます。 -
(4)刑事裁判における弁護
起訴されて刑事裁判になってしまったときでも、弁護士は被告人にとって有利な結果にできるように法廷や法廷外でも弁護活動を行うことができます。
6、まとめ
本コラムでは、商標法違反で逮捕されたら早期解決するためにはどうすべきかを解説していきました。
商標法違反で逮捕されたり逮捕のおそれがあるときには、早期に弁護士に相談することが重要です。
商標法違反で逮捕された、あるいは、逮捕されるのではないかと不安に思われているようでしたら、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています