倒産を回避する事業再生の方法とは。弁護士に依頼する5つのメリット

2020年08月26日
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倒産を回避する事業再生の方法とは。弁護士に依頼する5つのメリット

帝国データバンクが公表する「全国企業倒産集計2019年報」によると、令和元年中には群馬県内で85社の会社が法的整理を行っています(負債1000万円以上を集計対象)。

会社を経営されている場合には、売り上げの大幅な減少傾向が続き、毎月の資金繰りが苦しくなれば「倒産」という言葉が頭をよぎるものでしょう。しかし、会社の再建にむけた「事業再生」が可能であるケースもあります。

「事業再生」については、ご自身だけで行うよりも弁護士に依頼するとメリットが多いものです。本コラムでは、事業再生を弁護士に依頼する5つのメリットについてベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説していきます。

1、事業再生とは

事業再生とは、業績不振や実質的な債務超過に陥った会社の事業を立て直し、経営を健全化させることをいいます。

事業再生では、破産とは異なり以下を代表するメリットがあります。

  • 従業員の雇用を維持することができる。
  • 事業を存続することによって取引先が連鎖倒産することを防げる。
  • 連帯保証人になっている経営者個人の自己破産を避けられる可能性がある。


そのため資金繰りが悪化した場合、倒産のことばかり考えるのではなく、事業再生によって事業を継続していく可能性も検討するべきでしょう。

しかし、タイミングによっては、倒産せざるを得ないケースに状況が悪化してしまっていることもあります。そのため、事業再生を図る可能性を残すためにも、ご自身だけで悩まれるよりも早期に弁護士に相談することが重要なポイントになりえるのです。

2、事業再生が可能な場合とは

実質的な債務超過に陥っている会社でも、一定の収益性や成長性のある事業が存在する場合には事業再生して会社を存続させられる可能性があります。

窮地に陥っているものの事業価値のある会社については、破産して会社を存続させられなくなれば社会的・経済的損失となります。そのような損失を回避するために、裁判所が関与する民事再生手続などが整備されているのです。

また、状況によっては裁判所の関与なしで、直接金融機関に協力を求めて債務を圧縮できる可能性があります。ただし、経営者ご本人では、「会社の事業再生が可能かどうか」「どの事業再生の手法が適切なのか」を客観的に判断することは難しいといえるでしょう。

3、事業再生ではどのような手法が用いられるのか?

早期に事業再生を図る場合には、金融機関との間で債務を私的整理する方法がとられます。
しかし私的整理で対応できない状況になれば、法的整理を行うことになります。

  1. (1)私的整理による再生

    私的整理による再生とは、会社と債権者である金融機関との合意内容に従った再生計画案を策定して承認された計画を進めることで事業再生を図ろうとする手続きです。

    私的整理では、法的な手続を経ることはないため裁判所は関与しません。そのため厳密な手続きが必要とされず、柔軟に事業再生を図ることができます。また、公表されないことから、取引先などに現状を知られずに済むというメリットもあります。

    しかし私的再生は、債権者の理解と協力があることが前提となります。とりわけメインバンクとの関係が大きなポイントになりえるのです。具体的な金融支援策としては、リスケジュール方式や第二分社方式等があります。

    リスケジュール方式は、金融機関に借入金の返済期間を延長してもらい月々の返済額を減らしてもらって再生を図る方式です。第二分社方式とは、財務が悪化している企業の収益性のある事業の全部または一部を会社分割や事業譲渡により分社化して不採算事業や超過した債務について特別清算や破産によって整理する方法です。

    私的整理が可能であれば、会社の現状に応じた方式を選択していくことになります。

  2. (2)法的整理による再生

    法的整理による再生とは、法律に基づいて裁判所が関与して会社の債務の整理が行われる手続きです。

    法的整理は、全ての債権者に公平な手続である点が特徴です。再建型の法的整理としては、民事再生・特定調停・会社更生による手法があります。

    その中でも民事再生は、中小企業が資金繰りを改善させるために用いられるケースが多い手法です。民事再生は、破産原因がなくても破産の恐れがあれば申し立てることができます。

    申し立てが認められ裁判所が民事再生手続の開始決定を行うと、債権の調査手続きや再建計画の債権者承認が行われます。裁判所は、再生計画認可の決定を行った後で一定期間再生計画の遂行状況を確認して民事再生は終了します。

    法的整理では、専門性が高い厳格な手続きが必要です。したがって、法的整理のノウハウを持つ弁護士に対応を依頼して進めるケースが一般的です。

4、事業再生を弁護士に依頼する5つのメリット

ここまで、事業再生の概要をご説明しました。事業再生をお考えの経営者の方はご自身だけで悩むことなく早期に弁護士に相談することをおすすめします。

事業再生を弁護士に依頼する5つのメリットは、次のとおりです。

  1. (1)事業再生が可能か客観的に把握できる

    多くの経営者は、ご自身だけで事業再生が可能かどうか客観的に把握することは難しい立場にあります。誰よりも会社のことを知っており強い思いを抱いているからこそ、外部の専門家の客観的な視点も取り入れて再建を図った方がよいことは少なくありません。

    弁護士は、豊富な知識や経験をもとに事業再生が可能どうかを判断してお伝えすることができます。そのため、弁護士に相談した場合には、経営者の方は事業再生が可能か客観的に把握できるというメリットがうまれるのです。

    また、残念ながら事業再生が難しい場合でも、弁護士はどのような倒産手続をとった方がよいか判断して手続きを行うことができます。

  2. (2)適切な手法での事業再生を図れる

    事業再生では、会社の状況によって適切な手法が異なります。会社の現状を適切に分析して、どのような手法で再生することがもっとも会社の利益になるかを判断することが重要です。

    弁護士は会社の現状を客観的に把握できるほか、再生の手法についても精通しています。弁護士に相談した場合には、再生の手法に悩むことなく適切な方法で再建を図ることができるといったメリットがあるといえるのです。

  3. (3)金融機関との交渉を任せられる

    私的整理を行う場合には、金融機関との金利や支払いに関する交渉が不可欠になります。そして交渉の仕方次第では、金融機関に再建の可能性を納得させることができ大幅な譲歩を得られる可能性がでてくるのです。

    弁護士は、ご相談者の代理人として金融機関と私的整理についての交渉を行うことができます。弁護士は、交渉の専門家でもあるのでご相談者にとって有利な内容で合意できるように交渉を進めます。経営者にとっては、必要に応じて金融機関の交渉を弁護士に任せて有利な再生方法で再建を図れる可能性があるというメリットがあるといえるでしょう。

    他方、会社の債務を経営者が連帯保証しているような場合では、会社の事業再生を図ることができても経営者個人は自己破産に至ってしまうことがありえます。しかし、弁護士は経営者ご自身の自己破産を回避するために、「経営者保証ガイドライン」を適用するなどの方法で保証債務を処理できるように金融機関と交渉できる可能性があります。

  4. (4)再建案の提示が受けられる

    事業再生を図る場合には、再建案の内容は実現可能性が高く債権者などを納得させられるものである必要があります。

    弁護士はこれまでの事業計画などの改善すべき点などを客観的に判断した上で、実現可能で説得力のある再建案を提示することができます。弁護士という第三者の立場からみた再建案の提示が受けられることは、事業再生の実現に大きく貢献できるメリットになるでしょう。

  5. (5)税理士などとも連携してワンストップでの解決を図ることができる

    事業再生では、法律だけでなく税務などの専門家の関与が必要になるものです。

    税理士など他士業と連携している弁護士や法律事務所に依頼した場合には、ワンストップで事業再生に関して解決を図ることができるメリットがあります。ベリーベスト法律事務所では、弁護士だけでなくグループ法人の税理士と連携することによって法務と財務の両面からご相談者の会社の現状を分析して対策を立てることが可能です。

    事業再生だけでなく会社の事業に関する問題を気軽にご相談できる「顧問弁護士サービス」も展開しておりますので、ぜひご検討ください。

5、まとめ

本コラムでは、事業再生を弁護士に依頼する5つのメリットについて解説しました。

群馬県で事業再生を含めた事業にまつわるお悩みがある経営者の方は、ぜひお気軽にベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士までお気軽にご相談ください。状況に適したアドバイスやサポートを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています