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無断欠勤を繰り返す社員への適切な対応は? 注意点や会社がすべき対策

2021年09月21日
  • 労働問題
  • 無断欠勤
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無断欠勤を繰り返す社員への適切な対応は? 注意点や会社がすべき対策

群馬県内には、約9万の民間事業者の事務所があり、約90万人の従業員が働いているとされます。企業のなかでも特に、限られた従業員で業務をこなす必要がある中小企業にとっては、社員の勤務態度が大きな影響を及ぼすことがあります。

たとえば無断欠勤を繰り返す社員がいるような場合には、他の社員にしわ寄せがいったり、取引先や顧客などにも不測の損害を与えたり、会社の信用を毀損するといった可能性が考えられるでしょう。だからといって、無断欠勤者をやみくもに解雇することは、企業として適切な対応とはいえません。

本コラムでは、企業の担当者の方に向けて「無断欠勤を繰り返す社員への適切な対応」について、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士がお伝えします。

(出典:平成28年「経済センサス活動調査」)

1、無断欠勤の理由とは

無断欠勤とは、労働者が本来の勤務日に会社に連絡を入れずに仕事を休むことです。

無断欠勤した社員への対応を検討するためには、会社としては、無断欠勤した理由をできる限り把握しておく必要があります。たとえば、無断欠勤の理由として考えられるのは、寝坊や出勤日を忘れたなどの自己管理不足が挙げられます。しかし欠勤していることに気が付いた時点でも連絡を入れないのであれば、そもそもの社会人としての自覚の欠如も関係しているのかもしれません。

また、急なケガや病気で会社に連絡を入れられる状況でなかったようなケースもあります。なお、会社での人間関係の悩みやハラスメントも無断欠勤の理由になり、なかには精神疾患が背景となり無断欠勤につながっている可能性も考えられるでしょう。

2、無断欠勤する社員にはどう対応すべき?

では、企業として、無断欠勤する社員には、どう対応すべきなのでしょうか。

  1. (1)本人や家族に安否や欠勤理由を確認する

    まず欠勤した場合には、本人が急な病気やケガなどの不測の事態に陥っている可能性もあるので、会社側から本人に電話やメールなどの手段を使って安否確認を行う必要があります。本人に何度連絡しても連絡がつかないような場合には、本人が会社に届け出ている家族や親戚などの連絡先に連絡を入れるとよいでしょう。

    なお欠勤の際の会社側からの連絡は、後にトラブルになったときに備えて、書面やメールなどの証拠に残る形にしておくか、口頭でも話した内容と日時を記録しておくと安心です。本人の安否が確認できたときには、欠勤理由を確認して、正当な理由のある欠勤なのかどうかを判断することになります。

  2. (2)指導・教育する

    欠勤理由に正当な理由がなければ、会社側としては、無断欠勤者に指導や教育を行う必要があります。無断欠勤に対して、その都度会社側が対応をしていなければ、黙認していたと捉えられ、会社が社員に対する責務を果たしていないとされてしまう可能性があるためです。

    なお、指導や教育を行ったときには、その記録を残しておく必要があります。これは、労働者に対して行った処分が問題になったときでも、「会社として必要な指導・教育を行ったこと」を客観的証拠により主張・立証できるように備えておくことが大切になるためです。

  3. (3)懲戒処分を検討する

    再三にわたって指導や教育を行っても無断欠勤を繰り返す労働者に対しては、懲戒処分を検討します。これは、無断欠勤者の行動によって会社の秩序が乱されていることから、懲戒処分の対象になりうるためです。

    ただし懲戒処分をする際には、不当に重すぎる内容であったり、会社側としても何らの対策をとらずに処分を決めたりすることは避けるべきです。懲戒解雇処分を検討する場合でも、その前に戒告やけん責などの比較的軽めの処分をして、それでも改善されなかったという事実を残すことによって会社は十分対応したとの事実を残すことによって、解雇が無効になる可能性を低くすることができます

  4. (4)退職・解雇

    懲戒解雇は、繰り返す無断欠勤に対する最終手段になると考えられます。処分の有効性をめぐって争いになる可能性が高い非常に重い内容となる処分です。

    そのため、懲戒解雇をする場合でも、無断欠勤の都度無断欠勤者に指導や教育を行い、比較的軽いけん責処分や戒告処分をしても改善されなかった場合に、初めて懲戒処分をしたとの事実経過を証明できるように、記録を残しておくことをおすすめします。

    また、懲戒解雇の前の段階として、労働者が自主的に退職するよう話し合いをすることも選択肢のひとつとなるでしょう。ただしこの場合は、会社側が退職を強要しないように注意しなければなりません。

3、無断欠勤する社員への対応で注意すべき点とは

無断欠勤する社員への対応では、人事担当者は、次のような注意点も押さえておくとよいでしょう。

  1. (1)職場環境や精神疾患による無断欠勤は基本的に解雇できない

    解雇は、会社側が一方的に雇用契約を終了するものであり、労働者にとって大きな不利益をもたらします。そのため労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定して、労働者の保護を図っています。

    つまり解雇は、権利濫用と判断されてしまえば、無効になってしまうのです。解雇処分が無効になってしまうと、解雇処分以降の給与の支払義務が生じるなど、会社は大きな不利益を被ることになってしまいます。

    たとえば精神疾患による無断欠勤を就業規則で定める“正当な理由のない無断欠勤”にあたるとして解雇したケースでは、会社は就業規則に基づいて病院の受診や休職、経過観察すべきであったのに怠ったとして解雇は無効であると判断された裁判例があります。

    またパワハラやセクハラなどの職場環境が原因となって無断欠勤している授業員に対して解雇したケースでは、会社には職場環境を改善する義務があることから解雇できないとされます。

    そのため、職場環境や精神疾患が原因となって無断欠勤している場合には、基本的に解雇することは認められず、まずは会社として求められる対応や義務を果たす必要があるといえるでしょう。

  2. (2)行方不明者には裁判所の公示送達を利用して解雇する

    無断欠勤した社員のなかには、いつまでたっても連絡がとれず自宅や実家にも帰っていないなど行方不明になってしまう方もいます。多くの会社では、就業規則で14日以上の無断欠勤について懲戒解雇することを定めているので、就業規則に基づき解雇することになるものでしょう。

    しかし労働者が行方不明であれば、解雇通知書を本人に交付できないことが問題となります。この問題を解決するためには、裁判所の“公示送達”を利用する方法があります。

    公示送達とは、意思表示の相手が行方不明である場合などに、裁判所の掲示板に掲示することによって意思表示が送達したと同様の効果を生じさせるものです。無断欠勤している社員が行方不明であれば、人事担当者や労務管理の担当者は、公示送達を利用して有効に解雇する必要があります

4、無断欠勤の社員を減らすためにできることとは

無断欠勤する社員への対応方法についてご説明していきましたが、本来はこのような問題が生じないことが一番です。企業としては、社員が無断欠勤しないように、次のような予防策を講じることも重要です。

  1. (1)職場環境を改善する

    事業主には、パワハラやセクハラ、妊娠・出産・育休等に関するハラスメントの防止策をとり、社員の相談窓口を設置するなど、職場環境を改善するなどの対応をすることが責務としてあります。

    社員がこれらのハラスメントが原因で無断欠勤することのないように、これらの対応策を企業として十分に行い職場環境を改善していくことが、無断欠勤する社員を減らすことにつながる可能性があります。

    なお、就業規則で「無断欠勤が14日以上続くときには懲戒解雇する」旨を定めていても、パワハラやセクハラなどの職場環境が原因で社員が無断欠勤しているときには、解雇は無効とされる可能性があります。そのようなリスクが生じないようにするためにも、職場環境の改善は必須といえるでしょう。

  2. (2)就業規則を整備して周知する

    社員が無断欠勤しないようにするための予防策として、会社の就業規則を整備して社員に周知することが考えられます。就業規則に無断欠勤に対する懲戒処分などを定めることによって、抑止効果も期待できることでしょう。

    また就業規則を整備することは、無断欠勤の予防策となりうるだけでなく、無断欠勤に対する懲戒処分をめぐるトラブルを未然に防ぐことにつながります。

    なお就業規則をどのように整備したらよいのかについては、社労士や顧問弁護士などに相談しながら進めることをおすすめします。また、無断欠勤を繰り返す労働者を懲戒解雇にしたところ、不当解雇として訴えられてしまったときは、速やかに弁護士に相談してください。労働問題に対応した経験が豊富な弁護士であれば、適切な対応についてアドバイスができるとともに、会社側の代理人として労働審判や訴訟にならないよう交渉をするだけでなく、労働審判や訴訟となってしまったときの対応を行います。

5、まとめ

本コラムでは、企業の担当者の方に向けて「無断欠勤を繰り返す社員への適切な対応」について解説しました。無断欠勤を繰り返す社員に対しては、会社として、その都度指導や教育を行って改善するためのアクションを起こす必要があります。また懲戒解雇を検討する際にも、まずはけん責や戒告などの処分をして、労働者に改善の機会を与えるなどの対応がのぞましいといえるでしょう。

ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスでは、弁護士が社員の労務管理なども含めた企業法務についてのご相談に応じています。ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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