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従業員から残業代請求されたら確認すべき、4つのポイントと対処方法

2020年05月07日
  • 労働問題
  • 残業代請求されたら
従業員から残業代請求されたら確認すべき、4つのポイントと対処方法

現在、労働者に対して残業代を支払っていない使用者の方は、労働者から残業代請求されたら、どう対応するご予定でしょうか。群馬県内においても、一部上場企業の工場で、従業員3421人に対する7億円以上の残業代未払いがあったことが判明し、大きなニュースとなりました。

このように、残業代の未払いは、社会的な関心事となっており、対応を間違えば企業の今後に多大な影響を及ぼす可能性があります。ここでは、労働者から残業代請求があった場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が解説します。

1、未払いの残業代が発生した場合のリスク

雇用中、あるいは退職済みの労働者に残業代請求されたら、どのようなリスクが発生する可能性があるのかについて、あらかじめ知っておきましょう。

  1. (1)遅延損害金や遅延利息を支払う必要

    未払いの残業代を支払うにあたっては、残業代分に加えて遅延損害金や遅延利息が必要となる場合があります。そのため、適正に残業代を支払っていたケースよりもずっとコストがかかることがあるのです。

    特に、退職者からの残業代請求には、年14.6%の遅延利息が発生するため注意が必要です。令和2年3月31日までに発生した残業代の請求は過去2年分まで可能です。長期にわたる未払いになれば、遅延損害金や遅延利息の額も増えることは間違いありません。
    なお、同年4月1日以降に発生する残業代の時効は、3年になります。

  2. (2)労働審判や訴訟を提起される可能性

    従業員から、交渉により未払いの残業代を請求された場合、会社としては、その時点で何らかの対応をすることが必要です。未払いの残業代があることが明らかであるのに、放置したり拒否したりすれば、労働基準監督署に相談されてしまったり、労働審判や訴訟を提起されてしまったりする可能性が高くなるためです。

    明らかな未払いがあり会社側の勝訴は難しいようなケースであれば、任意の交渉段階で弁護士などを通じて、和解による解決を目指すほうがよい場合もあります。

  3. (3)会社のイメージダウン/経営悪化

    残業代が未払いであることが、報道等により明るみに出ると、労働者を不当に働かせる企業というイメージダウンにより、会社の信頼失墜が生じます。一労働者への対応の不備が、企業経営自体への影響につながるリスクを考えておく必要があるでしょう。

2、残業代請求されたときに確認すべき4つのポイント

まず、労働者に請求されている未払いが本当に存在するのかについて、確認することが必要です。そのためには、次のような点を検討する必要があります。

  1. (1)管理監督者に該当しないか

    管理職にいる方で労働基準法の「管理監督者」(労働基準法第41条第2号)に該当する場合、残業代を支払う必要がないため、残業代請求は認められないことになります。管理監督者には明確な定義はありませんが、判例から、①職務内容、権限、責任などで経営に関与する立場といえるか、②勤務態様が労働時間管理になじまないものであるか、③給与など処遇においてふさわしい待遇がされているか、により判断されます。これをもとに労働基準法の管理監督者であるといえれば、残業代を支払う必要はないと主張できます。

    もっとも、管理監督者に該当する場合であったとしても、残業時間が深夜に及んでいる場合には、深夜割増賃金を支払う必要があるのでご注意ください。

  2. (2)みなし残業代/固定残業代になっていないか

    外回りの多い営業職など労務管理が難しいケースの場合、就業時間以降も一定時間労働したものとみなす、「みなし労働時間」が導入されている場合があります。ただし、みなし労働時間制においても、不当な労働契約となっていたり、みなした労働時間が法定労働時間を超過していたりする場合は、その分についての残業手当を支払わなければなりません。

    また、雇用契約書のなかで、毎月支給する手当に一定時間分の残業代を含むと規定している固定残業代の場合、一定時間分の残業代は払われています。したがって、その時間分の残業代請求について支払う必要はないといえます。ただし、一定時間分以上の残業を行った場合は、超過分を支払わなければならないため、すぐに対応したほうがよいでしょう。

  3. (3)残業を禁止していなかったか

    会社として明確に残業を禁止していたのに、労働者が自己判断でそれを無視して残業した事実があるうえで残業代請求されたら、支払い義務はないことを主張できる可能性があります。

  4. (4)時効は過ぎていないか

    未払い分の残業代請求には時効があります。したがって、時効が過ぎている部分については支払う必要はありません。請求されている残業代がいつのものかについてはしっかり確認したほうがよいでしょう。

3、労働者から残業代請求された場合の対処方法

残業代請求されたら、企業が受けるリスクを最小限に抑えるためにもどのように対処すべきなのでしょうか。

  1. (1)社内の労働者から不満の声があがった場合

    まずは、不満を訴える労働者と話し合いをもち、主張の内容を確認することが第一です。さらに、会社としてのスタンスを明確にするため、弁護士などの専門家に相談しながら方針を検討します。労働者側が、労働組合として団体交渉してきた場合には、企業側はそれに対応する義務があります。労働組合としての交渉には、ストライキなど団体行動権が前提にあるため、慎重に対応する必要があるといえるでしょう。

  2. (2)労働基準監督署から指導・監督が入った場合

    労働基準監督署から指導・監督が入った場合、まずは真摯に受け止める必要があります。法令違反状態が長く続くと、刑事事件になる可能性があるため、早急に改善すべきでしょう。

    ただし、法令違反がないのに認めてしまえば、後日損害賠償や他の労働者への影響などもありうるため注意が必要です。勧告に従う必要があると判断した場合は、違法状態を是正したうえで、期限までに労働基準監督署に書面にて報告します。弁護士などの意見も踏まえ、会社としては労働基準監督署の勧告が妥当ではないと判断する場合には、その旨を根拠とともに労働基準監督署に報告することになります。

  3. (3)労働者から残業代を請求する内容証明が届いた場合

    労働者から残業代請求に関する内容証明が届いた場合、まずは、弁護士など専門家に相談してください。最初の対応を間違えることで、問題が大きくなったり、長期化したりする可能性があるためです。

    内容証明の内容を確認し、労働者の主張とその根拠、それに対する会社側の主張とその根拠を明らかにします。この場合、それぞれの主張の根拠は、雇用契約、就業規則、給与明細、賃金に関する規程など客観的な証拠に基づくことが必要です。

    次に、確認したことを踏まえて、先方との交渉に入ります。交渉により合意に至れば、合意書面を作成します。交渉がまとまらない場合には、労働者側から労働審判や訴訟を提起される可能性が高くなりますので、それに備えた準備を弁護士と進めておく必要があります。

  4. (4)労働者から証拠を開示するように請求された場合

    労働者から証拠を開示するよう請求される場合もあります。厚生労働省の通達によると、「使用者(会社)は、労働時間の記録に関する書類を3年間保存しなければならない」としています。そもそも使用者側としては残していなければなりません。

    あるべき書類は、請求されたときにすぐ開示しなくても、訴訟になったときに裁判所から開示するよういわれます。心証が悪くなるだけなので、早期に応じたほうがよいでしょう。

  5. (5)労働審判や訴訟による請求をされた場合

    労働審判や訴訟になった場合、法的な手続きに必要な書類などを準備する必要があります。やはり早急に弁護士などの専門家に相談することが必要です。この段階では、弁護士などの専門家が社内にいる場合は別として、経営陣や人事担当者だけの判断で進めることはリスクがあるといえるでしょう。

    労働審判では、申立書、答弁書、証拠書類をもとに、争点と証拠の整理が行われ、必要に応じて関係者が質問を受けることもあります。労働審判委員会より、調停による解決が試みられ、調停案(解決策)が提示され、調停が成立すればその時点で労働審判手続は終了となります。第3回期日でも調停が成立しない場合は、労働審判委員会より審判が下されることとなります。

    調停により合意した内容は、裁判上の和解と同一の効力を有します。そのため、使用者側として審判に不服がある場合は、2週間以内に書面で異議の申し立てをしなければなりません。当事者からの異議申し立てがあった場合、審判は効力を失い、労働審判手続の申し立てがあったときに、裁判所に同様の訴えの提起があったものとみなされます。

    この場合、労働審判手続の申立書は訴状とみなされますが、それ以外は改めて訴訟において主張書面や証拠書類を提出することになります。

4、労働者から残業代請求されたらすぐに弁護士に相談を!

残業代請求されたら、まずは労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。放置や適当にあしらうなどの対応は、事態を悪化させてしまうリスクが高いことを知っておきましょう。

弁護士に相談することのメリットは、問題を拡大長期化させてしまわないよう、専門知識や交渉経験を踏まえた対応により解決を目指せる点にあります。また、残業代計算、証拠準備、労働者との交渉などの手続きを一括して任せることで効率化を図り、会社が本業に専念できる点も大きな利点となるでしょう。

5、まとめ

労働者から残業代請求されたら、対応に困るという使用者は少なくないでしょう。使用者側(会社)の人事部で交渉に臨んだが交渉が難航している、というような場合、専門知識と経験を備えた弁護士に相談するのが早道です。

まずはベリーベスト法律事務所 高崎オフィスまでご相談ください。ベリーベスト法律事務所 高崎オフィスの弁護士が、残業代請求への対応に全力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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